こころと言う人
こころは貴族に生まれて5歳の時に日本に移住した。そして、日本に移住してから1年が過ぎようとして居た時、お父さんが、自分と同じくらいの歳の男の子を連れて帰ってきた。
「この子は彼方君、こころと同じ歳だ。今日からこころのお兄ちゃんになるから仲良くしてやるんだぞ。」
そう、お父さんが言うと、彼方と紹介された男の子は、
「はじめまして、彼方と言います。よろしくお願いします。」
と、丁寧に言ったので、
「こちらこそ、よろしく?」
と、曖昧に答えた。
不思議と、彼方とはすぐに仲良くなった。かっこよくて、優しくて、運動が出来て、勉強もできる。理想の兄だった。そして、半年もしない間に、本当の兄妹の様になった。お兄ちゃんとずっと一緒に居たいと思うほどに。
しかし、2年が過ぎたある日、海外への引っ越しが決まった。そして、父親が言った。
「今度の引っ越しには、彼方は連れて行けない。」
そう、言ったのだ。こころは当然反発した。しかし、父は首を横に降るばかり。何故かと聞くと、父は、
「そう言う契約なのだ。」
と言った。こころは彼方と一緒に日本に残るとも言った。しかし、父に、どう生活して行くのかと問われて、こころはそれ以上言い返せなかった。
そこで、父は、
「きっとまた日本に帰って来れる。それまでの辛抱だ。」
と言った。
そこで、こころはそれまでの辛抱と、思い、日本を飛び立った。
しかし、それから四年が経ったが、未だに日本へ戻ったことは無かった。