表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜咲く頃に、君と  作者: 月桃シュリー
プロローグ
2/6

2


疲れたから一先ず落ち着こうと、たまたま目に付いた公園に入ったら、ベンチの近くにいたおじいさんが目に入った。


ベンチの下や茂みを覗き込んだりしながらウロウロして、何かを探しているみたいだ。


これでボロボロの服を着ていたらちょっと怖くてすぐ立ち去るところだけど、ケンタッキーのカーネルおじさんみたいな白いスーツとステッキを見ると、食べ物やお金を探している人ではなさそうだ。


ベンチに座りたいけどそのままだと落ち着けなさそうだったので、勇気をだして声を掛けた。


「あのぅ、どうしたんですか?」


おじいさんは驚いた顔で私を見て、困ったように眉毛を下げた。


「いやね、ちょっと探し物を。あぁ、もしかして座りたいのかな。すまないね、すぐに退こう。

・・・あ、待って。いや、しかし・・・うーむ。」


一旦立ち退こうとしたおじいさんだったけど、振り返って私を見て、何やら悩んでいる様子を見せたあと、すまなさそうにまた口を開いた。


「君のような若い女性にお願いするのは大変不躾だとは承知しているのだが、ひとつ頼まれてくれないだろうか。」


「内容によりますけど、あの、何でしょうか?」


女性だなんて言われたのは初めてだったので、大人として扱われたようでなんだかくすぐったい。


「実は携帯電話をなくしてしまってね。この公園で使ったのが最後だったから、この辺りを探していたんだよ。嫌じゃなければで良いのだが、もし携帯電話を持っていたら、私の番号に電話を掛けて欲しいんだ。もちろん、非通知で結構なんだが・・・」


本当に申し訳なさそうにそう言われて、少し考えたけど、私は頷いて鞄からスマホを取り出した。

非通知でいいって言ってるのもあるし、このおじいさんは、品があると言うか、『紳士』って言葉がぴったりで、悪いことをするようには見えなかったから。



そうして鳴らしたおじいさんの携帯電話は、無事におじいさんのサイドバッグから見つかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ