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桜咲く頃に、君と  作者: 月桃シュリー
プロローグ
1/6

1


その日、私はものすごく落ち込んでいた。



高校の入学試験に向かう途中、子猫の悲しげな鳴き声に気が付いて、思わず探しちゃったんだ。


ようやく見つけた子猫は、ブロックの隙間に挟まれて、釘か何かで怪我をしたみたいで、動けなくなっていた。


痛がる子猫を傷つけないように、引っ掻かれながらもなんとか助け出したときには、試験は始まっていた。



そりゃ私だって、時間には気づいていたよ。


周りの人に声を掛けて助けを求めたけど、朝の忙しい時間だし、みんな足早に通り過ぎていくよね。仕方ない。

もう放置して行っちゃおうかな、って何度も思ったけど、子猫の滲んだ血を見たら、どうしてもそれは出来なかった。



怪我した子猫を抱いて急いで試験会場に行ったけど当然中には入れてもらえなくて、子猫の手当ての相談をしたら、近くの動物病院を教えてもらった。


後から思えば、試験会場に入れたとしたら子猫どうしてたんだよ、って感じだし、怪我の手当てより入試優先させてゴメン、とも思うけど、大した怪我じゃなかったから許してほしい。


動物病院の先生は擦り傷だよって消毒だけして、治療費はいらないよって笑ってくれたのには、ホッとした。

手持ちのお小遣いで足りなかったら家に帰ってお母さんにお願いしなきゃ、それまで待ってもらえるかな、って密かにドキドキしてたから。


子猫は首輪をしてたから、どこの子か知りませんかって聞いてみたけど、その病院には登録されてなかったみたい。


迷子札がないから多分家から抜け出したんだろうってことと、病院では預かれないって言われて、病院を出た。



正直途方に暮れていた。


そうして子猫を抱いてトボトボ歩いてたときに、あの人を見かけたんだ。




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