第一話 現状確認ー無職のおれはこっちでも無職っぽいです1
※更新(12/29)
屋台での食事代金を変更しました
目が覚めると、そこは中世風の木組みの町だった。思考が停止する。確認しよう。昨日、というか日付的には今日、自分はセーブしてからベットに入ったはずだ。あれ?セーブしただろうか?そうだ、プレイヤーハウスのベットを見て、一気に眠気が襲ってきて、それで…と、いうことは?ここはよくある異世界というやつなんじゃないか。そうだ、確かにここはミリスの町。ゲーム通りの街並みに、たれやなんかのいいにおいが漂う。
「転生だ――――――。」
通りがかったおばさんほか数名に変な目で見られる。すまんおばさん。でもだよ、よくある転生物語といえば、チートや知識を駆使して、何やかんやありながら、最後には世界の頂点に立つ感じじゃないですか。あっちで魔法使いになったおれに死角はなかったのだ。さてプレイヤーハウスに戻ろう。あそこは宝の宝庫だ。きっと武器の一つ、アイテムの一つでも、きっととんでもない値段がするだろう。プレイヤーハウスに・・・
「あれ?」
いつもプレイヤーハウスがあったところには今は屋台が並んでいる。どうやらいいにおいのもとはここの肉料理のようだ。イ、イヤマサカネー。ミマチガエダヨ、キット。ホラトナリノINNテカイテアルキノイエガ。はい宿屋ですすみませんでした。
「いやきっと能力がチートなんだよ、能力が。」
だれともなしにそう話しかける。「ママ―。あそこに変な人がいる―。」「しっ。見ちゃダメ。」そんな会話が聞こえてくるが無視だ無視。きっと俺の能力を見て驚くことになるのだろう。
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ダメだった。ひとまず武器屋に行き、短剣を買って城壁の外に出たのはいいものの、ゴブリン1匹にぼこられ、どこかの冒険者さんに助けてもらうという最悪の結末に終わった。正直肉体的ダメージより精神的ダメージのほうが大きい。冷静に考えればそらそうだという気にもなる。何しろシーフの初期スキルは追撃Ⅰと身体強化(すばやさ)Ⅰだ。まともに剣なぞ振ったことのない自分に、対モンスター戦闘などできるはずもない。とぼとぼと街に帰る。たいして物が入らない初期装備のカバンにナイフをしまう。血がついていないからしまうのにためらいがない。屋台の一つで料理を注文する。肉と少量の野菜をパンらしきもので挟んだ、サンドイッチのようなものである。何しろ金だけはあるのだ。何もしなければ何十年も暮らせるほどの。
「うっす。」
なんというか、ああそうほめるとすれば、素材そのままの味である。肉をそのまま焼いた感じだ。いやうまいんだよ、うまいんだけれども。何しろ俺の下はカップラーメンや冷凍食品の濃い味に慣れてしまっている。脳が、舌が、脊髄が、焼き肉のたれが欲しいと叫んでいる。
「ああ?仕方ねーんだよ。」
今まさに肉を焼いている親父が目だけをこちらに向ける。
「胡椒とかの香辛料はたけーんだ。何しろ何キロも離れた隣の国まで買いに行かなきゃなんないからな。わざわざ屋台の料理に使うために取ってくる奴なんていねえ。わかったらとっとと帰んな。」
あの胡椒なんかよりたれを…と言おうとしたが親父のオーラに押されて黙る。もう陽は沈みかかっていた。一番近くの宿屋に宿をとり部屋に入ると、そのままベットに倒れこんだ。
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本日の収支(1日目)
先日までの残高 10,000,000G
本日の支出 ナイフ 2000G
食事代 60G
宿一泊 200G
本日の収入 なし
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現在所持金 9,997,740G
ブックマーク、ありがとうございます。はげみになります。
誤字脱字多いと思いますので、コメント等で指摘していただけると幸いです。