【詩】濁ル
正しいことを 正しいと言えたあの頃正直だ。
間違ったことを 憎むことができたあの頃は―――…。
悪をこらしめて 正義が勝って みんなが笑える。
そう思い描いてた、正しいと疑わなかった。
……そうしようと思えたのに。
正攻法じゃ どうにも 勝てそうになくて
結局 誰も闇に染まっていく。
綺麗なままじゃ いられなくなりそうだ。
純粋だったはずの 正義さえ。
どんどん おかしくなっていくのかも
ねぇ今の僕 普通じゃないかな…?
でもさ でもさ、聞いてよ
どうにもできない現実 太刀打ちできないまま、打ちのめされちゃ
何も変わらないでしょ?
だから だから、これはきっと"仕方ない"んだよ。
涙声が 語る
たとえば
平和なこの日本で 数十人の命が消えたとしよう。
世界はきっと 驚くだろう。 少し、耳を疑うだろう。
けれど
紛争だらけの国で 数万の命が消えたとしよう。
世界は誰も 驚きはしないだろう。 「紛争国なら、そんなもん」と思うだろう。
おんなじ命 …………変わらない命の重さのはずなのに。
人でいさせて。
痛みに 鈍くなりたくないよ
悲しいこと 哀しいと 思えていたいよ
人でいさせて。
目の前の 残酷に慣れてしまいたくない
間違いの正義も 「仕方ない」なんて …思い始めたくないよ。
仕方ないよ… 仕方ないよ…
こうするしかないんだ 誰かがやらなくちゃいけないんだよ。
悲しい運命と 受け入れないで。
涙が滲む 憂いが交る 君の瞳は
もう 変わってしまった。 あの頃にはモドレナイ
………濁りはじめる。
白には簡単に慣れないのに、それより容易く黒は染まるのだ。




