ACT
物語を始めるにあたってまずは自己紹介をしたい。
俺の名前は「八次 彰」。読み方分からないよな? ヤツギ・アキラだ。ショウじゃない、ここ重要。
とは言ったものの俺は別に特別に名前に思い入れがあるわけでもないし、現在の名前が気に入らないとか、
名前に俺の本質が表されてるとか叙述的な話でもない。
家族構成を紹介させてもらおう。
父、母、俺、妹+ペット(犬)の至って『普通』の高校2年生だ、正確にはまだ1年生だが…
趣味は園芸と料理。ちなみに趣味と聞かれて最初に『園芸』と答えると必ずと言っていいほど『枯れてる』とか『ジジ臭い』なんてレッテルを貼られることになる。
最初に『料理』と答えたあとに『園芸』と答えると『家庭的なパパ』みたいなイメージになる。
朝三暮四じゃないが、実質は何も変わってないのにな…『家庭的』だなんて俺とは程遠いイメージだ
さて、この物語は俺が高校2年生に晴れて無事に進級し、桜舞う、期待に満ち溢れた新学期とやらが始まる瞬間から動き出す。
ここで一つだけ言わせてもらいたいことがある、さっきの自己紹介の時に俺は自分を『どこにでもいる普通の高校生』という肩書を述べさせてもらった。
…ありきたりだと思うだろ? もうその前振りやネタはいらないと思うだろ?
でも、確かに俺は新学期が始まるまでは、毎日学校に通い、友達とダベリ、部活に精を出すクラスメイト尻目に家に帰って庭を弄り、宿題をして、妹に生ごみ扱いされる…本当に『どこにでもいる普通の高校生』だった。
ちなみにそんな俺は『普通』を気に入っている、『普通』だからこそ出来ることもこの世に沢山あると思ってる。
漫画やアニメの世界じゃないが『ある日突然…』なんて俺は真っ平御免だ。
なんで俺が空から降ってきた女の子と異世界を救わなきゃならないんだ? なんで俺が集めると願いが叶う宝を求めて宇宙をスパーキングしなきゃならない?
俺はそれを傍で見てるだけ、否、むしろ見ることもお断りだ、何故なら、俺の好きな『普通』が『ある日突然…』より価値がないと、否が応でも認識させられてしまうからだ。
皆誰もが『ある日突然…』を夢見ながら、各自の『普通』を大事に大事に抱え込む。
その『普通』が壊れた時、俺はどういう反応をするんだろうか?
『ある日突然…』に心移りして、『普通』なんてかなぐり捨てるのだろうか?
その答えはこの物語を読めば全て分かるが、結論から言わせてもらう、
俺は『普通』ではなかった、『普通』が何より好きで、誰よりも『異常』だった。
そしてそれに気づいた俺は『先輩』のために『普通』を捨てた。
この物語は【俺】と【先輩】とそれを取り巻く【普通から外れた】者たちの物語。
痛みと血と悲痛さに彩られた俺の唯一の『青春』の物語。
ここまで長くなったし、話が逸れ過ぎた
では始めよう、俺たちの物語を