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0話 黎明の先
見上げる空は、どこまで青い。
心地よい風が肌をそっと撫で、腕の通っていない右袖を優しく、空っぽのまま持ち上げた。
経験してきた戦いが全て嘘だったかの様なそんな感覚が過るほど世界は穏やかな光に満ちている。
けれど、身体の重みが、傷跡が。あの日々は確かにあった事なのだと私に訴えていた。
あの戦いで世界は変わった。
当たり前にあったものが消え、世界は一度、混乱に陥った。
けれど、人々は失ったものと引き換えに、大切なものを取り戻した。
それは友であり、家族でもある。――召喚獣との絆だ。
かつて信頼で結ばれた契約は、歴史を重ねる毎に歪んでいき、いつしか召喚獣を奴隷のように扱う「隷属契約」へと成り下がっていた。それがようやく、元の形……魂の絆で結ばれる姿に戻ったのだ。
「せんせー!」
子供達が私を見て、微笑みながら手を振っている。
私も微笑み、残された左腕を高く振り返す。
戦いが終わった後私は先生となった。
かつて、教えていた少年と同じように。
誰か導いていく存在に、なりたいと思ったから。




