第20話 運命の魔法、覚醒
国王の告白を受け、シャルロッテたちは、新たな決意を胸に、王宮を後にした。
「お母様が、王族で、国王陛下の妹だったなんて……」
シャルロッテは、まだ信じられないといった表情で言った。
「父上も、色々と苦悩されていたんだな……」
ロイドもまた、父親の真実を知り、複雑な表情をしていた。
「国王陛下に、運命の魔法を学び、宮廷魔法使いと戦う。それが、私たちに与えられた使命だ……」
フレッドが、真剣な表情で言った。
彼らは、再び図書館に戻り、『運命の魔法』について記された古書を読み漁った。
「この魔法を使いこなすためには、術者の心が、強く、そして純粋でなければならない……。そして、術者と、魔法をかける相手との間に、強い絆が必要だ……」
テスラが、本の内容を読み上げた。
(強い絆……。私とロイド様の、赤い糸のことかしら……)
シャルロッテは、ロイドと繋がった自分の小指を見つめた。
「ロイド様。私と、運命の魔法の練習、してみませんか?」
シャルロッテは、ロイドに、運命の魔法の練習を提案した。
ロイドは、シャルロッテの手を握りしめ、深く頷いた。
「ああ。僕たちの運命の魔法を、見つけよう」
二人は、静かな庭園へと向かった。
シャルロッテは、目を閉じ、ロイドとの出会いから、これまでの出来事を思い出した。彼女のコンプレックスを乗り越え、彼女を愛してくれたロイド。彼が、自分にとって、どれだけ大切な存在なのかを、改めて心の中で確認した。
「ロイド様……。大好きです……」
シャルロッテが、心の中でロイドに語りかけると、彼女の小指に結ばれた赤い糸が、強く光り輝き始めた。
その光は、ロイドの小指にまで伝わり、彼の体全体を包み込んでいく。
「これは……! 暖かい……!」
ロイドは、シャルロッテの魔法が、自分の心にまで届いているのを感じた。
「運命の魔法……。シャルロッテ、君は、本当に運命の魔法を継承していたんだ……」
ロイドの言葉に、シャルロッテは微笑んだ。
彼女の瞳からは、もう以前のような絶望の光は消え、母親を救うという強い決意と、ロイドへの愛情に満ちた、希望の光が宿っていた。
その時、シャルロッテの背後から、宮廷魔法使いの声が聞こえた。
「運命の魔法を継承する娘よ……。その魔法の力を、我々に渡しなさい」
宮廷魔法使いは、シャルロッテの魔法の力を感じ取り、彼女の前に現れたのだ。
「宮廷魔法使い……!」
ロイドは、シャルロッテを庇うように、宮廷魔法使いの前に立ちはだかった。
「お前には、運命の魔法は扱えない。その魔法は、愛と、強い絆を持つ者しか、使いこなせないのだから!」
シャルロッテは、宮廷魔法使いに向けて、強く叫んだ。
「何を戯言を……。さあ、その魔法を渡しなさい!」
宮廷魔法使いは、シャルロッテに向けて、強力な魔法を放った。
しかし、その魔法は、ロイドとシャルロッテの間に結ばれた赤い糸に触れた瞬間、まるで消えていくかのように、力を失っていった。
「これは……! まさか……!」
宮廷魔法使いは、驚きを隠せない。
「私たちの運命は、もう誰も邪魔させない!」
シャルロッテは、ロイドと手を繋ぎ、強く言い放った。彼女の小指に結ばれた赤い糸は、二人の運命を繋ぐ、最強の魔法となっていた。
彼らは、宮廷魔法使いと戦う決意を固め、運命の魔法を完全に使いこなすために、新たな戦いへと挑んでいくのだった。




