第18話 フレッドの決意、そしてロイドの苦悩
図書館での調査を終え、シャルロッテたちは、学園の庭園へと向かった。
「テスラの母親が、国王の秘密の魔法に関わっていたとはな……。王族の闇は、想像以上に深いようだ」
ロイドが、重い口調で言った。
「俺の父親も、王宮の機密情報を調べてくれている。何か進展があれば、すぐに連絡してくれるはずだ」
フレッドが、ロイドの言葉に頷いた。
「みんな、ありがとう。みんなが協力してくれて、本当に心強いわ」
シャルロッテは、仲間の温かさに感謝していた。
その時、フレッドが、ロイドに視線を向けた。
「ロイド……。お前の父親が、本当に黒幕だったとしたら、どうするつもりだ?」
フレッドの言葉に、シャルロッテは息をのんだ。ロイドは、国王の息子。彼にとって、父親は、超えることのできない絶対的な存在だ。
「僕も……。まだ、答えは出ていない……」
ロイドは、苦しそうな表情で言った。
「でも、シャルロッテの母親を救うという決意に、変わりはない。たとえ相手が、僕の父親だったとしても……」
ロイドは、自分の父親が、母親の冤罪に関わっているかもしれないという事実に、苦悩していた。
そんなロイドの肩に、フレッドがそっと手を置いた。
「ロイド。俺たちも、お前と同じだ。俺の父親も、王宮の騎士団の副団長だ。もし、俺たちの父親が、この件に関わっていたとしても、俺たちは、お前の味方だ」
フレッドの言葉に、ロイドは驚き、目を見開いた。
「フレッド……」
「シャルロッテの母親を救う。それは、俺たち全員の決意だ。一人で抱え込むな」
フレッドは、ロイドの目を真っ直ぐに見つめ、力強く言った。
「フレッド……。ありがとう……」
ロイドは、フレッドの優しさに、思わず涙ぐんだ。
その時、ロイドのポケットに入れていた通信魔法のペンダントが、淡い光を放ち始めた。
「これは……! 父からだ!」
ロイドは、ペンダントを開くと、そこに記されたメッセージを読み上げた。
『ロイド。至急、王宮に戻れ。君に伝えなければならない、重要なことがある』
メッセージの内容に、ロイドたちは、緊張した面持ちで顔を見合わせた。
「ロイド様……。何か、分かったのかも……!」
シャルロッテが、ロイドの言葉に期待を込めた眼差しで言った。
ロイドは、フレッドとシャルロッテの手を握りしめ、深く頷いた。
「ああ。僕たちで、父に会いに行こう。そして、真実を、この目で確かめてこよう」
彼らは、国王が待つ王宮へと向かった。




