第17話 テスラの隠された秘密
翌日、シャルロッテたちは、図書館に集まっていた。
「シャルロッテの母親が持つ魔法は、運命の魔法……。古書には、この魔法のことが記されているかもしれない」
テスラは、魔法薬学の本だけでなく、古い歴史書や、王家の秘密について記された本を、片っ端から調べていた。
「この本に、何か手掛かりがないかな……」
バロンが、分厚い古書をめくりながら言った。彼は、魔法の知識は得意ではないが、持ち前の探求心で、シャルロッテのために一生懸命調べてくれていた。
その時、テスラが、一つの本を手に取り、静かに言った。
「これだ……。王族の秘密の魔法について、詳しく記されている本だ」
その本には、『運命の魔法』のことが詳しく書かれていた。しかし、その魔法は、王族の中でも、特別な才能を持つ者しか扱えない、非常に危険な魔法だと記されていた。
「この魔法は、人の運命を書き換えることもできる……。だが、その代償として、術者の生命を削る危険な魔法だ……」
テスラは、本の内容を読み上げながら、顔色を悪くしていた。
「テスラ君……?」
シャルロッテが心配そうに尋ねると、テスラは、深く息を吐き、静かに話し始めた。
「実は……。僕の母親も、王宮の専属薬師として、王族の秘密の魔法の研究に関わっていたんだ」
テスラの言葉に、ロイドたちは驚きを隠せない。
「僕の母親は、運命の魔法の代償を抑えるための魔法薬を開発していた。その魔法薬は、人間の身体能力を一時的に向上させることで、魔法の代償を補うものだったんだ」
テスラは、自分の母親が開発した魔法薬について語った。それは、テスラがいつも持ち歩いているフラスコの中に入っている、紫色の液体そのものだった。
「この薬は、完璧な分身にも使われていた……。だから、分身は、どんな強力な魔法を受けても、びくともしなかったんだ」
テスラの言葉に、シャルロッテは驚きを隠せない。彼女は、自分の分身が、なぜあんなに強力だったのか、その理由を初めて知った。
「でも……。僕の母親は、その魔法薬の代償を、自分の身体で受け続けていた。そして、今は……」
テスラは、言葉を詰まらせた。
「今は、身体がボロボロになって、王宮を追われ、自宅で療養しているんだ」
テスラは、自身の母親の病気を治すため、そして、シャルロッテの母親を救うために、運命の魔法について調べていたのだ。
「テスラ君……。ありがとう。君の母親を、必ず一緒に治そう」
シャルロッテは、テスラの手を握りしめ、優しく言った。
「ああ。そのためにも、僕たちは、運命の魔法の真実を、必ず突き止めなければならない」
テスラは、決意を固めた表情で、シャルロッテの言葉に頷いた。




