第16話 ロイドの告白
王宮から無事に生還したシャルロッテたちは、それぞれの自宅へと戻っていた。シャルロッテは、母親からの手紙を何度も読み返し、自分が王族の血を引いているという事実に、改めて向き合っていた。
(お母様が王族……。じゃあ、私は……)
彼女は、自分が平民の出だと思っていた。それが、宮廷魔法使いに狙われる原因になったのかもしれない。
そんなことを考えていると、シャルロッテの部屋の窓を、ロイドがノックした。窓を開けると、ロイドは満面の笑みを浮かべて、花束を差し出した。
「シャルロッテ、ただいま。そして、おかえり」
花束を受け取ったシャルロッテは、少し照れくさそうに微笑んだ。
「ロイド様も、おかえりなさい。大丈夫でしたか?」
「ああ。僕たちのことは、誰も気づいていないようだ。ひとまず安心だ」
ロイドは、部屋の中へと入ると、シャルロッテの隣に座った。
「シャルロッテ。君が、本当の君の姿を見せてくれた時……。僕は、君が誰よりも美しく見えた」
ロイドは、シャルロッテの手を優しく握りしめ、真剣な眼差しで彼女を見つめた。
「完璧な美貌を持つ分身も素敵だった。でも、僕は……。君のコンプレックスも、君の弱さも、全部含めて、君が好きなんだ」
ロイドの言葉は、まるで魔法のように、シャルロッテの心を温かく包み込んでいく。
「運命の魔法……。君の母親が、王族の秘密の魔法を継承していると知った。その魔法は、人の運命を繋ぐ力を持つという……」
ロイドは、シャルロッテの手を握りしめたまま、静かに言った。
「シャルロッテ。僕と、君の運命の赤い糸。それを、もっと強く結びつけてくれると、嬉しい」
それは、ロイドからの、改めての告白だった。
シャルロッテは、嬉しさと、少しの戸惑いで、顔を赤くした。
「ロイド様……」
「シャルロッテ。君の母親を救う。それは、僕たちの運命だ。僕たちの運命の魔法を、一緒に見つけよう」
ロイドの言葉に、シャルロッテは、涙を流しながら頷いた。彼女は、もう一人ではなかった。彼女のそばには、ロイドという、最高のパートナーがいてくれる。
彼女は、ロイドと手を繋ぎ、強く、そして優しく微笑んだ。
「はい、ロイド様。私の運命の魔法、一緒に見つけましょう……!」




