第15話 絶望の淵から希望へ
ロイドたちは、宮廷魔法使いの追跡を振り切り、何とか王宮を脱出することができた。
「くそっ……! 結局、何も掴めなかった……」
フレッドは、悔しそうに壁を殴った。彼らは、国王に真実を問いただすどころか、宮廷魔法使いの口から、母親がまだ生きていることと、王族の秘密の魔法が関わっているという、二つの重要な情報を得ただけだった。
「いいや、違う! 私たちは、大切な情報を得ることができたわ!」
シャルロッテは、フレッドに駆け寄り、力強く言った。
「お母様はまだ生きている。そして、お母様が持っている魔法が、この国の秘密を握っている。これを突き止めれば、必ずお母様を救うことができるわ!」
彼女の言葉に、ロイドも深く頷いた。
「そうだ。今はまだ、僕たちの力が足りない。でも、このままじゃ終われない。僕たちは、必ず、シャルロッテの母親を救うんだ!」
ロイドは、フレッドとシャルロッテの手を握りしめ、強い決意の光をその目に宿した。
その頃。 シャルロッテの母親に宛てて書いた手紙が、一通の返事となって帰ってきた。
『シャルロッテ、元気にしているようで安心しました。あなたの手紙を読んで、本当に嬉しかった。あなたの友人のこと、ロイド様のこと、聞かせてもらうのが楽しみです。』
手紙の最後に書かれていたのは、彼女のペンダントの紋章についてだった。
『あの紋章は、この国に古くから伝わる「運命の魔法」の紋章です。それは、人の運命を繋ぎ、変える力を持つ魔法……。この魔法は、王家にしか代々伝わらない、秘密の魔法なのです。』
シャルロッテは、その手紙を読み、驚きを隠せない。彼女の母親は、王家の血を引いていたのだ。
(お母様が、王族……? じゃあ、私は……)
シャルロッテは、自分の出生の秘密を知り、大きな衝撃を受ける。
しかし、同時に、彼女の心に一つの希望が灯った。彼女の母親は、王族の秘密の魔法を継承している。その魔法が、彼女の冤罪を晴らす鍵になるかもしれない。
そして、彼女の小指に結ばれた赤い糸は、ロイドとの運命を繋ぐように、強く輝いていた。
「運命の魔法……」
シャルロッテは、ロイドを見つめ、静かに言った。
「私、運命の魔法を、学びたい……。この魔法を使って、お母様を救い、そして、私とロイド様の運命を、もっと強く結びつけたい……!」
彼女の言葉に、ロイドは優しく微笑んだ。
「シャルロッテ。君の選んだ道なら、どこまでもついていくよ」
彼らは、まだ始まったばかりの学園生活の中で、王国の秘密と、運命の魔法、そして母親の救出という、大きな運命に立ち向かうことになった。
彼らの物語は、今、新たな局面を迎えようとしていた。




