第13話 フレッドの決意
その日の放課後。ロイドとシャルロッテは、二人で学園の庭園を散歩していた。
「ロイド様……。みんな、私のために、協力してくれるって……」
シャルロッテは、嬉しそうにロイドに話した。ロイドは、彼女の手を優しく握りしめ、微笑んだ。
「当たり前だよ。僕たちは、君の仲間だから」
その時、二人の前に、フレッドが姿を現した。彼は、いつもと違い、どこか寂しそうな表情をしていた。
「フレッド君、どうしたの?」
シャルロッテが尋ねると、フレッドは、少し顔を伏せながら言った。
「俺も……シャルロッテの母親を救う手伝いをしたい……」
フレッドは、かつてシャルロッテの分身を倒してしまったことを、今でも後悔していた。あの時、自分の嫉妬心から、シャルロッテの夢を壊してしまったのではないか、という罪悪感に苛まれていたのだ。
「俺の家は、古くから王家に仕えてきた貴族で……。王宮の機密情報を、少しだけ手に入れることができるかもしれない……」
フレッドは、シャルロッテの母親の冤罪について、自分でも調べていた。そして、ロイドの父親である国王が、この件に深く関わっている可能性を突き止めていたのだ。
「シャルロッテの母親を救うためには、国王に会って、直接真実を問いただすしかない。そのために、俺は……」
フレッドは、ロイドに視線を向けた。
「ロイド、俺たちで、君の父親である国王に、真実を問いただしに行こう」
ロイドは、フレッドの言葉に驚き、少し戸惑った表情を見せた。国王は、彼の父親であると同時に、この国の絶対的な権力者でもある。彼に逆らうことは、国を敵に回すことと同義だった。
「フレッド……。それは、あまりにも危険すぎる……」
ロイドの言葉に、フレッドは静かに首を横に振った。
「危険だからこそ、やる意味があるんだ。シャルロッテの母親は、俺たちのせいで囚われているようなものだ。だから、俺たちが責任を持って、彼女を救い出すんだ」
フレッドの決意に満ちた言葉に、ロイドは言葉を失った。
彼の隣で、シャルロッテは、フレッドの優しさに涙を流していた。かつてはライバルとして、憎しみ合っていた二人。だが、今は、母親を救うという同じ目標に向かって、共に歩んでくれる仲間だった。
ロイドは、フレッドの真剣な眼差しを受け止め、深く頷いた。
「……わかった。僕たちで、父に会いにいこう」
ロイドの言葉に、シャルロッテは安堵の表情を浮かべた。彼女は、もう一人ではない。最高の仲間たちが、彼女のそばにいてくれる。彼女の心に灯る希望の光は、ますます強く輝き始めたのだった。




