第12話 テスラとバロンの決意
魔法学園の食堂は、いつも賑やかだ。シャルロッテは、ロイドたちと一緒にランチを楽しんでいた。
「シャルロッテ、今日の魔法の授業、すごかったな! 俺、全くついていけなかったぜ!」
バロンが、豪快に笑いながら言う。彼は、魔法は苦手だが、持ち前の明るさと人懐っこさで、いつも場を和ませてくれた。
「ふふ、バロン君は体育会系だからね。魔法はちょっと苦手なのかも?」
シャルロッテは、楽しそうに笑う。そんな彼女の姿を、テスラがじっと見つめていた。
「シャルロッテ……。あのさ、俺も母親を救うために何か手伝えることはないかな?」
テスラは、真剣な表情で尋ねた。彼は、シャルロッテの母親が、冤罪で投獄されていることを知っていた。
テスラは、魔法薬学の知識を活かして、母親が収容されているであろう牢獄の環境や、健康状態を改善するための魔法薬を作れないか、と考えていたのだ。
「テスラ君……。ありがとう。でも、私一人で……」
シャルロッテは、自分一人で解決しなければならない問題だと思っていた。だが、テスラは首を横に振った。
「違うよ。君は一人じゃない。僕たち、仲間だろ? シャルロッテの母親は、僕たちにとっても大切な人だ。それに……」
テスラは、言葉を濁し、ロイドをチラリと見た。
「それに、僕も少しだけ、君の母親の件に心当たりがあるんだ……」
テスラの言葉に、シャルロッテは驚き、ロイドも顔色を変えた。テスラの母親は、王宮の専属薬師であり、王宮の秘密をいくつか知っている可能性があるというのだ。
「俺もだぜ、シャルロッテ! 俺は、王宮の騎士団長を目指しているんだ! だから、お前の母親の冤罪を晴らす手助けができるかもしれない!」
バロンが、熱い瞳でシャルロッテを見つめる。彼の父は、王宮の騎士団の副団長を務めている。バロンは、父に母親の件を相談することで、何か手掛かりを掴めないかと考えていた。
シャルロッテは、彼らの温かい気持ちに胸がいっぱいになった。
「ありがとう、みんな……。私、本当に嬉しい……!」
彼女の瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちる。それは、もう絶望の涙ではなかった。彼女を支えてくれる、温かい仲間たちがいることへの、感謝の涙だった。




