第11話 母への手紙
シャルロッテの復学から一週間。学園生活は、以前とは全く違うものになっていた。
教室では、ロイドが隣の席で優しく微笑みかけてくれ、休み時間には、フレッド、テスラ、バロンたちが、彼女の周りに集まってくる。彼らは、もう彼女の秘密を知っている。だからこそ、シャルロッテはありのままの自分でいることができた。
授業が終わると、彼女は図書館へと足を向けた。ロイドが誘ってくれたデートの時、彼が歴史書について熱く語っていたことを思い出し、少しでも彼との共通の話題を増やしたいと思ったのだ。
「ロイド様は、この辺りの本がお好きだったわね……」
彼女は、ロイドが以前手に取っていた魔法史のコーナーで、一冊の本を手に取った。それは、この国の歴史と、王族の秘密の魔法について記された古書だった。
ページをめくっていくと、その中に、見覚えのある紋章が描かれているのを見つけた。それは、彼女の母親が身につけていたペンダントと同じ紋章だった。
(まさか……お母様のペンダントは、王族の魔法に関係しているの?)
その本を読み進めていくうちに、彼女は、母親が無実の罪で投獄された理由が、この王族の秘密の魔法に関係しているのではないかという疑念を抱くようになった。
母親を救うためには、まず彼女の安否を確かめなければならない。シャルロッテは、ペンを取り、母親に宛てて手紙を書き始めた。
『お母様、お元気ですか? 私は今、キングストン魔法学校に通っています。たくさんの友達ができて、みんなが私を助けてくれます。そして、ロイド様という、大切な人もできました……。』
手紙には、これまでの出来事、そして母親への思いが綴られていた。手紙の最後には、母親のペンダントの紋章について、さりげなく尋ねる一文を添えた。
その手紙を魔法の鳥に託すと、それは母親のいる場所へと向かって飛んでいった。
シャルロッテは、窓の外を眺めながら、母親からの返事を待つことにした。彼女の心の中には、母親を救うという強い決意と、ロイドたち仲間がいることへの感謝の気持ちが、温かく灯っていた。




