第10話 はじめての復学
自宅の部屋で、シャルロッテは鏡の中に映る自分を見つめていた。ぼさぼさだった髪は丁寧に手入れされ、だぼだぼの服の下には、すらりとした理想の体が隠されている。
「これが……私……」
1ヶ月の間に、彼女は自らの手で、自分のコンプレックスから解放されていたのだ。 ロイドたちとの対面以来、彼女はもう引きこもることはなかった。ロイドは、彼女の本当の姿を知っても、変わらず優しく接してくれた。フレッドは、自分の行いを心から謝罪し、テスラとバロンも、温かい眼差しで彼女を見守ってくれた。
彼女は、勇気を出して復学することを決意した。
「いってきます!」
シャルロッテは、元気いっぱいの声で家を出た。彼女の小指に結ばれていた赤い魔法の糸は、もう分身とは繋がっていない。だが、その糸は、彼女とロイドの心を繋ぐ、新たな「運命の赤い糸」として、強く輝いているように見えた。
キングストン魔法学校の門をくぐる。生徒たちは、失踪から復学したシャルロッテの姿に、再び驚きを隠せない。しかし、以前とは違う。嘲笑ではなく、彼女の堂々とした姿に、皆、感嘆の視線を向けていた。
「おはよう、シャルロッテ」
教室に入ると、ロイドが笑顔で迎えてくれた。その隣には、フレッド、テスラ、バロンもいる。彼らは、もう彼女の秘密を知っている。だからこそ、彼女は安心して、彼らの前に立つことができた。
「おはよう、みんな!」
シャルロッテは、満面の笑顔で応えた。それは、彼女がゲームとして操っていた分身の笑顔ではなく、コンプレックスを乗り越え、本当の自分を見つけた彼女自身の、心からの笑顔だった。
彼女の夢だった「友達がたくさんできて、彼氏もできて、ウハウハな学園生活」が、今、ようやく始まる。彼女は、ロイドと共に、そして最高の仲間たちと共に、母親を救うという大きな目標に向かって、新たな一歩を踏み出したのだった。




