表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BARBAROI -鬼方の戦士は八徳を嗤う-  作者: ペンギンの下僕
chapter2“a*en**r b*ea*s *ein**r*ation”
68/384

variegated plans

 泰伯はひとまず森の中に隠れて様子を窺うことにした。

 ここならば周囲に木々が生えていて遮蔽物となり、連弩による矢の雨を防げるからだ。

 しかしそれは同時に、自分も犾治郎に攻撃出来ないということでもある。

 木の合間から覗くと犾治郎は先ほどと変わらずに連弩を三つ並べて森のほうへ向けて立っている。


(どうする? 森を迂回してあいつの背後に回るか?)


 時間はかかるが出来ないことではない。

 夜ということもあり、犾治郎から泰伯のはっきりした居場所はわからないはずだ。月の明かりがあるため真っ暗というわけではないが、木に隠れるようにして動けば気づかれないだろうと泰伯は踏んだ。

 なるべく音を立てないように。それでいて、自分の体をなるべく遮蔽物のないところに出さないように慎重に動いていく。

 犾治郎に動く様子はない。

 ずっと、最初に泰伯が逃げ込んだ方を向いて連弩を構えている。


(気づかれてないみたいだな)


 途中、何度か犾治郎の様子を確認するが犾治郎は今いる場所から動く気配はない。手持ち無沙汰なのか、剣を軽く振り回しているらしく、時折しゃらんしゃらんとリング同士がぶつかる音がしている。しかし連弩が増えたわけでもないのでそこまで気にしない。

 十分ほどかけて犾治郎の背後まで回り込んだ泰伯は、なおも慎重に犾治郎の様子を窺っている。

 問題はここらかだ。

 まだ森の中にいるが、森を出れば犾治郎のいるところまでざっと二十メートルは距離がある。今の泰伯ならば二秒とかからない距離ではあるが、下は岩場であり、踏み入ればすぐに音で感知されてしまうだろう。


(犾治郎の反応速度にもよるけど、一回だけ矢の雨をどうにか凌げば押しきれるはずだ)


 犾治郎の戦闘能力は未知数だ。武器の形状は剣だが、あれが連弩を出すためだけの道具なのか、それとも普通に剣として使っても強いのかはわからない。

 しかし泰伯には、


(近接戦に持ち込めば倒せる)


 という自信があった。

 タイミングを見計らい、泰伯は森の中から飛び出す。

 犾治郎は――反応しない。

 一瞬で泰伯は犾治郎の背後、首筋が目と鼻の先というほどの距離まで近づいた。そのままの勢いで剣を振るおうとしたその時。

 ピタリとその動きが止まった。

 泰伯の周囲の地面から鎖が伸びてきており、枷のように手足を縛り付けてその動きを止めているのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ