holiday life of four_2
すいません、昨日の投稿忘れてました。代わりに今日投稿して、明日からまた予定通りに投稿します
六月二日、夕方五時ごろ。
泰伯は彷徨、日輪、孝直とともに夕飯を食べに来ていた。その内容はラーメンである。
部活終わりの日輪が、行ってみたいラーメンの新店があるといって三人を誘ったのだ。
泰伯は午後からは部活があったので時間を合わせてもらい夕方になるとスマートフォンに共有されていた位置情報を頼りにそこへ向かったのだ。
その道中で泰伯は彷徨と会った。彷徨は泰伯を見つけると無邪気に手を大きく振った。
その様子があまりにもいつも通りに陽気なので泰伯は安堵した。
「おっす泰伯。おつかれー」
「彷徨もお疲れ様。ところで、昨日の登山の疲れとか残ってないかい?」
「うん、寝たら吹っ飛んだよ。あ、そうだ昨日ありがとね」
その言葉に泰伯は安堵の息を吐く。昨日、仁吉たちと別れてから彷徨を探しにいった泰伯の前に紫の蝶――船乗りシンドバッドの術で生み出された使い魔が現れたのである。
蝶は博物館前のバス停に彷徨を寝かせてあるから回収してほしい。おかしなものを見聞きしたという記憶は消しておいたから安心しろと言ってきた。
泰伯が言われた場所へ向かうとそこでは彷徨が寝息を立てて寝ていたのである。泰伯は彷徨を背負って下山し、家まで送っていったのである。
彷徨の家族には、急に登山に誘って疲れて寝てしまったと説明したのだが彷徨はそれを信じているようだ。
「いいよ。僕のほうこそ無理に誘って悪かったね」
「いやあ、なんだかんだ楽しかったしオッケー。美人のお姉さんとも知り合えたし」
単純だなと思いつつ、その素直さに泰伯は救われたような気持ちになった。
(僕もこいつのこういうところ、少しは見習わないとな)
そんなことを考えながら、泰伯はもう一つ気になっていることがあったので話題を変えた。
「ところで彷徨?」
「ん、何ー?」
「いや、確か昨日……もう暫く二郎系はいいとか言ってなかったっけ? 日輪の話だと、今日行く店も二郎系だぞ?」
「ま、何とかなるっしょ。それに近場に新しいラーメン屋が出来たならとりあえずチェックしに行くでしょ」
彷徨は、まるでそれが当然の義務であるかのよえに言い、泰伯も同感だと頷く。泰伯と彷徨、そして日輪は基本的にラーメンが大好きであり、中学の時にはお小遣いを溜めて自転車ラーメン店巡りの小旅行をしたこともあるほどである。
「しかし孝直が来るとは意外だったよね。二郎系は来ないかなーと思ってたからさ」
彷徨の言葉に泰伯も頷く。孝直はあまりラーメン、というよりも塩分の濃い物が好きでなく、甘味を好む。そして、過去に何度か食事に行って、泰伯たち三人が三回連続で夕飯てラーメンを選んだ時に怒ったこともあるのだ。
そして基本的に少食であり、昨日に泰伯と彷徨が二郎系に誘った時にも断られている。なのでもしかしたら今日も来ないかもしれないと思っていたのだが、孝直はすんなりとオーケーの返事を出した。
そんな話をしながら二人が目当てのラーメン屋『乃更士』の前に着くと、そこにはそれなりの行列が出来ている。そして日輪と孝直はその最後尾にいた。
二人に合流するとそのまま列に並び、そして彷徨は先ほどの疑問をそのまま口にする。
孝直の話だと、どうやらこの店の店主は孝直の兄、文謙の知り合いらしい。そして、もし機会があれば食べに行ったらどうだと文謙に勧められていたとのことだ。
なるほどと頷いて、しかしまだ列が捌けるまで時間がかかりそうなので四人は適当にとりとめのない話をしている。その時だった。
聞き知った声がしたのである。
「のう龍煇丸よ。来たはよいが、余が残したら責任持って食べるのじゃぞ。基本的に余は大食いに向かんのじゃ」
「まあそれは任せとけって。二郎系なら全マシ三杯くらいはいけるからさ」
「二郎系には詳しくないが、すごく凄そうということだけは伝わってくるな」
泰伯たちがそちらを見ると、そこには、黒セーラーを着た赤毛と黒髪ポニーテールの女子学生、そして英文字の書かれたおしゃれな白Tシャツに黒デニムを着た女子が立っていた。
その女子――焱月龍煇丸は泰伯たちを見ると少しだけびっくりしたような顔をして、
「あ、四バカ」
と口にした。