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BARBAROI -鬼方の戦士は八徳を嗤う-  作者: ペンギンの下僕
chapter5“vanguard:king of *****”
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白斗山_2

 今から白斗山に行く。覇城から急にそう誘われて仁吉は、まず疑問が湧いてきた。その心を読んだかのように覇城が説明をする。


「部活終わりの由基と話していたら、流れで白斗山の戦いについて盛り上がってしまってな」

「……どんな流れだ」


 そうツッコミつつも、由基のほうは知らないが覇城が歴史好きなことは知っているので、まあ何か想起させるような話題が出たのだろうくらいに思っていた。


「そうなると無性に史跡巡りがしたくなったので今から行こうかということになったのだよ」

「はぁ、まあ……いいんじゃないか?」

「だからお前もどうだ? せっかくならば道連れは多いほうが楽しいからな」


 そう言われても仁吉は歴史については素人である。坂弓市に住んでいるからといって郷土史に興味を持ったことなどない。白斗山の戦いなどという日本史には出てくることもないような戦いのことなど言われてもピンとこないというのが本音である。

 今の会話でも、


「お前はよく道連れなんていう言葉をそうも肯定的な使い方が出来るな」


 という、本筋にまったく関係のない感想のほうが先に出てきてしまった。


「別におかしな日本語にはなっていないだろう?」

「まあそうなんだけどさ」


 元は単に連れ合いくらいの意味であるのだが、道連れという言葉を聞くと厄介事に巻き込むというほうがまず思いつく。

 しかし覇城は素の声がはっきりとしていて話し方に陰気さがまるでないのでそういう印象は持たなかった。


「それでどうだ仁吉?」

「……まあ、特に用事もないからいいよ。ただし一回家に帰っていいか? 流石に制服で山登りはしたくないよ」


 その言葉には覇城も頷く。二人も一度帰って着替えてから落ち合うつもりだったらしいので、一度別れて一時に坂弓駅で待ち合わせということになった。

 そして向かうことになったのだが、よくよく考えると昼の一時から出発して登山は計画に無理がないかと今さらながらに思った。白斗山はそこまで大きな山ではないが、それでもしっかり登るとなると半日はかかるはずだ。

 坂弓駅で落ち合った時にそのことを聞くと覇城は笑った。


「流石に山頂まではいかんさ。白斗山の北側に辰星(しんせい)砦という古跡があってな。そこの砦跡を見て、近くにある郷土史料館に行くだけさ」

「ああ、そうか。まあそうだよな」


 仁吉は胸を撫で下ろした。

 覇城の話では辰星砦までは最寄駅からバスが出ているらしい。バスの時間も既に調べてあるとのことである。


「そのあたりのことは任せておけ。行動自体は思いつきだが、無理がないかの精査はしてから実行に移すさ」

「まあそうだな。お前はそういうところしっかりしてるし」


 そんなことを話しながら仁吉はふと気になったことがあった。


「そういえば西向日くんは前に、あんまり歴史は興味ないって言ってなかったかい? 休みの日の半日を潰してまで史跡巡りするのは少し意外だったんだけど」


 前に夢の話を聞きに行った時のことを思い出して仁吉は聞く。由基はその指摘に苦笑した。


「いえ、まあそうだったんですけどね。あの夢を見るようになってからどうも軍事とか合戦のこととか気になるようになって、色々と調べているうちにちょっとハマってしまいましてね」

「それで、中世軍事史を学ぶなら手近にちょうどいいところがあるからと俺が勧めたわけだ」


 なるほどと仁吉は頷く。

すいません、八月はストックの都合もあって奇数日のみの投稿とさせていただきます

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