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BARBAROI -鬼方の戦士は八徳を嗤う-  作者: ペンギンの下僕
chapter5“vanguard:king of *****”
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中国古代史考:匈奴征伐_3

 張騫の話が続いている。

 理科室の窓から差し込む光はすっかりオレンジ色になっていた。


「単于に厚遇された張騫は、しかし自分の使命を忘れることなく、機を待って逃げ出し月氏へたどり着いた。しかしその頃の月氏は安定した生活を手にしており、匈奴への怨みはもう持っていなかった。こうして張騫は本来の任務を果たすことなく帰ったが、張騫からもたらされた西域の情報は漢にとって有益なものだった。西域事情に興味を持った漢は、西との行路を確保したいと思い、いっそう匈奴侵攻に積極的になっていく。そして実際に一定の成果を挙げた。衛青(えいせい)霍去病(かくきょへい)という将軍が現れたんだ」


 そう話しながら高明は自分の鞄の中からタブレット端末を取り出してきた。

 そして当時の中国の地図を表示する。仁吉と泰伯はそれを覗き込んだ。


「衛青、霍去病の二将の活躍によって河西地域、つまり現在の中国甘粛省あたりの匈奴を一掃した。そしてここに河西四郡と呼ばれる郡を設置した。西域貿易のための拠点にしようとしたわけだ。そしてそれはまず成功したと言っていい。この頃の匈奴は漢の侵攻によって遥か北辺のゴビ砂漠のあたりまで追いやられていたわけだからな」


 高明はそう言いながら河西四郡のあるあたりを指さす。


「ここで勢いづいた漢は、さらに外征を繰り返すことになり、漢は最大版図を達成することになる。その中には、北の奥地になりを潜めた匈奴も対象となっていた。この時にはすでに衛青、霍去病という名将は故人となっており、主に外征を任されていたのは利広利(りこうり)という将軍でね」


 そこで泰伯が口を挟む。


「あの、先生。なんだかこれ、途中から匈奴の話というよりも漢の武帝の外交政策の話になってませんか?」

「そうなんだ。私も話しながら気づいてね。今更だが、歴史を縦の流れで掘り下げるよりも匈奴と言う民族について詳しく説明するほうがよかっただろうか?」


 そう言って高明は仁吉を見る。


「いえ、別に話自体は分かりやすかったですよ。いきなり、どういう文化や風習があって、みたいな話ばかりされてもたぶん頭に入ってなかったと思いますし。それにある程度世界史で見た単語が出てきたので、なんとかついていけましたし」


 そうか、と高明は少し安心したような表情をした。

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