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BARBAROI -鬼方の戦士は八徳を嗤う-  作者: ペンギンの下僕
chapter3“*oon *as**e *a*ling”
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irregular four

ブクマしてくださった方、ありがとうございます!!

 遥か上空、月宮殿の前で行われていた攻防のことなど地上にいる仁吉、泰伯、蒼天は当然ながら露ほども知らない。

 そして今も、何がなんだか分からないままに光に飲み込まれて意識を失ってしまったのである。

 最初に意識を取り戻したのは泰伯だった。

 泰伯はまず周囲を確認する。裏山ではない。木々など一本もなく、薄暗くてだだっ広い空間である。前に悌誉と戦った時に入った空間のようだ、と泰伯は思った。

 そしてさらに見てみると、近くで仁吉と蒼天がうつ伏せになって倒れている。しかしとりあえず目に見える傷はない。二人に近づいて起こそうとした時だった。

 泰伯は鳥の鳴き声を聞いた。

 その声は、泰伯の知識と経験としては間違いなくそう形容するのが近いのだが、その中に哀愁を感じる。鳴き声のした方向を見るとそこには、全身が炎に包まれた巨大な火の鳥がいた。

 両翼の広さはおよそ電車三両分くらいだろうか、とぼんやり考えていたが、すぐにそんな余裕はなくなる。

 その火の鳥は口から炎を吐き出してきた。放射状に広がるそれは泰伯ばかりでなく、近くに倒れている仁吉と蒼天まで飲み込んでしまうほどの広範囲攻撃である。

 泰伯は咄嗟に剣を振るった。

 一か八かではあったが、斬れる、と強く信じて剣を握り――結果として、その一振りは炎を一文字に両断した。

 しかしその一振りで、泰伯は自分の想像以上に体力が消耗したのを感じた。


(無斬は一級品の剣で、苦戦するのは僕の未熟さ故か……。なるほど、確かに、そうらしいね)


 泰伯は前に犾治郎に言われたことを思い出しながら、自分の弱さを呪った。そして必死になって後ろの二人に呼びかける。


「先輩、先輩ーっ!! 三国さーん、起きてくださいっ!!」


 その叫び声にまず仁吉が反応した。

 仁吉は体を起こし泰伯のほうを見ると、その背後にいる火の鳥を見て目を点にした。


「……なんだよそのメルバみたいなやつは?」

「いや、どちらかと言うとバードンですね……」


 二人がそんなどうでもいい話をしている間にも、火の鳥は口を大きく広げ、その中に炎を溜め込んでいた。

 仁吉は近くにいた蒼天を小脇に抱えて走り出す。

 泰伯もそれに並んで、火の鳥から遠のくように走った。


「見た目どおりに火を吐くのか!! だからバードンなのかよっ!!」

「どうにか今から手懐けてファードランみたいな相棒ポジになってくれませんかね?」

「別にファードランは最初から味方だっただろうが!! というかお前、普通に最近まで特撮見てやがるな!?」

「その話が通じるってことは先輩も見てますね!?」


 炎から逃げるように走りながら、仁吉は泰伯と趣味の共通項があることが判明して無性に腹が立った。

 そして泰伯はこんな状況でもそれを知ってどこか嬉しそうにしている。

 だが現実として、二人の走る速度よりも炎のほうが速い。そして火の鳥は炎を吐きなからも飛んで来ているので、その炎が二人を飲み込むのは時間の問題だった。

 泰伯は意を決して立ち止まり、もう一度、無斬で炎を斬ろうと試みた。

 その時である。

 炎が揺れて、火の鳥が横に大きく吹き飛ばされた。横から飛んできた何者かに殴り飛ばされたのだと分かった時にはもう火の鳥は地面に伏して微動だにせず、炎の脅威はなくなっていた。

 そして二人の眼前には一人の少女が立っている。

 黒いワイシャツの上に紺色のブレザー、そして黒いズボンを着た銀の短髪。左目を眼帯で隠し、両手にトンファーを持った彼女――焱月(えんげつ)龍煇丸(りゅうきまる)である。


「――ここかな、祭りの場所は?」


 龍煇丸は二人を見ながら、口元に獰猛な笑みを浮かべていた。

Q、好きなウルトラ怪獣は?

仁吉「……ファイブキングかな?」

泰伯「マガオロチですかね」

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