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BARBAROI -鬼方の戦士は八徳を嗤う-  作者: ペンギンの下僕
chapter3“*oon *as**e *a*ling”
190/385

who is she?

 結局、火水木の三日間、蒼天は高熱にうなされることとなった。それも、夜になると少し楽になるのだが昼間になるとまた病状が悪化するという具合なので学校も当然休み、気がつけば明日は5月3日――ゴールデンウィークである。

 そして今日。5月2日木曜日。

 夕方になって玲阿が見舞いにやってきた。部活が終わってからなので少し遅めの時間ではあるが、学校に行けなくて寂しい思いをしていた蒼天にとっては来てくれただけで嬉しかった。

 ちなみに今、悌誉は夕飯の買い出しに出ているので部屋にはいない。


「はいよっちゃん。これ、とりあえず三日分の配布物とノートの写し」


 玲阿はまだ布団から出られない蒼天の横に来て必要なものを並べて見せてくれる。


「……すまぬの、玲阿。というか、なんだか余だけ長い休みになってしまったんじゃが」

「まあ仕方ないよ。体調不良じゃね。でもよっちゃん、今まで風邪とかひいたことなかったのに珍しいね?」

「……そうなんじゃよな。インフルエンザとか、そういう類では無さそうなんじゃがの。まあ薬も飲んどるしそろそろ復調するじゃろ」

「なら、治ったらとりあえず一回――勉強会しよっか?」


 天真爛漫な笑みで玲阿は言う。

 蒼天はげんなりとした。


「こら、そんな顔しないのよっちゃん!! 連休明けにはテストあるんだよ!? ちゃんと勉強しないと、赤点取ったらさ」

「……取ったら、どうなるんじゃ?」

「確か、部活出来なくなるね」

「……余、帰宅部じゃし」


 ひねくれた子供のような言い方をした。

 しかし玲阿は何かを思い出したように学生証を開くと校則のページを確認する。そして、


「あとさ、バイトも一ヶ月禁止だって」


 と、そう書かれている部分を見せた。


「……それは、まずいの。まだ決まってすらおらんのに」


 せめて五月中にはバイトを決めたいと思っていた蒼天は熱と別の理由で顔色を悪くする。


「……仕方ないの。やるか、勉強会」


 それはお小遣いを減らすと言われた子供が渋々と宿題をするような、なんとも消極的な態度だった。


「まあ、教えてあげるから頑張ろうよ。それに、一日くらいなら部活休みの日もあるからその日は遊びにいこうよ」

「そじゃの。ああ、それなら忠江も巻き込んでやるか。余だけ勉強させられるのはどうにも業腹じゃ」


 それは軽口だったのだが、玲阿の返事がない。不思議そうな顔をしていた。


「ん、どうしたのじゃ玲阿?」

「いやあのタダエさんって……誰?」

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