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BARBAROI -鬼方の戦士は八徳を嗤う-  作者: ペンギンの下僕
prologue4“inside my core”
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food festival_2

 その頃蒼天は、悌誉に頼まれた大きな水を売っている店を探して歩いていた。500mlのペットボトルであればあるが2リットルのものとなると扱っている店は意外とない。

 といって500mlの水を四本も買うのは流石に無駄使いに思えてきた。


(もういっそ、傀骸装して外のコンビニにでも走るほうがよいかの?)


 そんなことを考えていた時である。

 周囲に気を配っていなかった蒼天は人混みの中で誰かとぶつかってしまった。


「ああ、すまぬの。ちと考え事というか探し物をしておってな」

「おー、別にいいぜ。俺は大丈夫だしよ。それよりどうした赤毛ちゃん、迷子か?」


 どうやら蒼天はぶつかった相手から子供扱いされているようである。相手のほうも別に大人と言うわけではないのに失礼な、と思い言い返そうとしたところで蒼天は気づいた。

 相手は先ほど『ヒラルダ』で遠目に見た桧楯の姉――龍煇丸であると。

 龍煇丸は両手にピザやらポテトやらの入ったトレイを乗せて器用に立っている。端から見れば落としそうで危なかしく見えるが本人にとっては他愛ないことのようだ。


「ああいや、そうではない。大きな水のボトルを売ってる店がないか探しておっての」

「熱中症でも出たか? そんならここからちょっと行った運営テントに行けばタダで貰えるぜ。常温の安いやつでもいいならだけど」

「いや、それでよい。助かった」


 蒼天は礼を言うと言われた方向へ走り出す。

 龍煇丸はその背を軽く見て、また歩き出した。


「さーて、んじゃ俺も先輩のとこ戻るか」


 その声はもう蒼天には聞こえない。

 そして蒼天は龍煇丸に教えられた方向へ走ること約十分。一向に運営テントを見つけられずにいた。

 流石におかしい。もしかして途中で見逃したか、横道へ行くべきだったのかもしれないと思い、ちょうど近くにいた運営スタッフを呼び止めて事情を話した。

 するとその運営スタッフの言うには、運営テントは真逆の方向だとのことである。しかもそのスタッフに見せられた地図によると、先ほど龍煇丸と立ち話をした場所のすぐ近くであった。


「……桧楯の気持ちが、少しわかったの」


 そう毒づきながら蒼天は、肩を落として来た道を引き返した。

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