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BARBAROI -鬼方の戦士は八徳を嗤う-  作者: ペンギンの下僕
prologue4“inside my core”
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holiday life of four

 同日、午前十一時ごろ。

 泰伯もまた坂弓公園の『坂弓フードフェス』にやってきていた。

 他のメンバーは無論、彷徨(かなた)日輪(ひのわ)孝直(たかなお)である。四人は去年もこのメンバーで『坂弓フードフェス』にやってきていた。


「来たぜー!!」


 彷徨は誰よりもはしゃいでいた。駆け足になったり、気になる出店を見つけては右へふらふら、左へふらふらとして足を止めるということがない。

 泰伯はそんな彷徨がはぐれないように後を追っていた。


「楽しそうですね彷徨さん。ああいう性格ならきっと人生楽しいことばかりなんでしょうね」


 孝直は片目を瞑りながら、はしゃぎわまる彷徨を見ている。


「どうした孝直、何か悩みでもあるのか?」


 日輪がそう聞いた。その問いに答えようと孝直が日輪のほうを振り向くと、日輪はいつの間にか右手にフランクフルトを持ち左手に縁日でよく見る、素材不明の光るブレスレットをしている。


「……日輪さんもけっこう浮かれてますね」

「当然だろう。こういう場は浮かれるためにあるものだからな。一緒にいるのが気の置けない友人ならなおさらだ」


 真面目な顔で日輪はそう言う。


「どうも、昔から苦手なんですよね。楽しいは楽しいんですけどね」

「それはそうだろう。これだけの付き合いの長さで、来たくはないが付き合いで来たなどと言われては切なくなる」


 そう言いながら日輪は手に持っていたフランクフルトを孝直に差し出した。


「……何ですか?」

「俺の奢りだ。遠慮なく食べるといい」


 これは日輪なりの気遣いなのだろう。そう思った孝直は素直にフランクフルトを受け取った。


「ありがとうございます」

「ああ、せっかくの祭りだ。形からでも羽目をはずすところから始めてみれば、自然と気も緩むだろう」


 日輪は表情にこそ出ていないが真面目にそう言っている。

 その時だ。先ほどまでうろうろとしていた彷徨がすごい勢いで二人のほうへ走ってきた。


「ねぇねぇねぇねぇ、あっちに大人のチャンバラ大会って企画があるんだけどさ。泰伯が何人抜き出来るかにドーナツ賭けない?」

「ちょ、お前勝手なこと言うなよ彷徨!! というかそれ、僕にメリットないだろ!?」


 彷徨は満面の笑みを浮かべている。怒り半分の泰伯に頭を掴まれた状態でありながらも、だ。

 その光景を見て孝直は、少しだけ口元を緩ませた。


「いいですね。なら私は五人で」

「ちょっと孝直!?」


 真っ先に孝直が乗ってきたことに泰伯は驚きの声をあげる。


「なら俺は七人だ。泰伯ならばいくところまではいくだろうが、無敵ではあるまい」

「……日輪まで」


 泰伯はため息をつく。

 そして言い出した張本人である彷徨は、


「俺はもちろん、十人!! 俺の大親友の泰伯がそこらの……何トカの骨なんかに負けるはずがないからね!!」

「……馬の骨だよ」


 彷徨の言葉を泰伯は呆れながら補足する。


「高く買われてますね、泰伯さん。まあ頑張って――六人目で負けてください。そうすれば後で焼きそば奢りますよ」

「いきなり八百長持ちかけるのやめてくれよ!! やらないよ!!」


 孝直に公然と持ちかけられて、もちろん泰伯は断る。孝直としても別に本気で言っているわけではない。


「しかし確かに、泰伯にも何か利点がなければやる気も起きないだろう」

「まあ、そりゃ、確かに日輪の言うとおりかもね」


 日輪の言葉に彷徨がうなずく。すると泰伯はあることを思いついた。


「じゃあこういうのはどうだい?」

「どういうのですか?」

「孝直は五人、日輪は七人、彷徨は十人だろ? 僕は自分で十五人に賭けるよ。それを越えたら僕の勝ちってことにしてくれよ」


 泰伯は自信に満ちた顔で言った。

 その条件で賭けは成立し、四人は企画の開かれている体育館のほうへと向かった。

キャラクタープロフィール更新しました。今日は「南茨木桧楯」です。


小説のほう気に入っていただけましたら、感想や評価などよろしくお願いします!!

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