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BARBAROI -鬼方の戦士は八徳を嗤う-  作者: ペンギンの下僕
prologue4“inside my core”
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coffee shop“Santa Teresa”_4

 南茨木(みなみいばらき)如水(じょすい)は仁吉の知己であり、一年の時のクラスメイトでもある。

 如水は一年生の後半からは生徒会の副会長を勤めており、委員会会議などで当時保健委員の副委員長であった仁吉とも顔を合わせることが多かった。

 当時の生徒会長にも目をかけられており、本来ならば今は生徒会長をしているはずの人物だ。


「妹さんがいるとは聞いてたけど、君がそうか」


 仁吉にとって如水は心安く話せる相手でもあり、その身内ということもあって仁吉は少し気が緩んだ。


「ええ、兄が副会長の時には先輩に色々とお世話になったそうですね。ありがとうございます」

「そんなことないよ。むしろ僕のほうこそ如水が副会長だと楽だったよ。前の会長は……まあ、癖の強い人だったからね」

「そうらしいですね。私もあまり詳しくはしらないのですが」

「というか、如水は今忙しくしているのかい? 家庭の事情で会長はやれなかったと聞いたけど」

「ええ。そのあたりは色々とありまして」


 琉火は少し言い淀んだ。これ以上は深く聞かないほうがいいと思い仁吉も詮索しようとは思わなかった。


「そうかい。ま、如水がそのまま会長やってくれてたほうが僕としてはよかったんだけど仕方ないね」


 少し残念そうに仁吉はため息をつく。

 これは紛れもない仁吉の本音だ。


「先輩は今の会長……ええと、崇禅寺先輩と、親しくしておられるのでは?」

「……ああうん、まあ、そうとも言えるかな。いや、生徒会や委員会の経験なしにいきなり会長なんてやるのは大変だからね」


 今度は仁吉が言い淀んだ。

 余計なことを言ってしまったと少し反省して、話題を他に移すことにした。


「しかし如水の奴もいいかげんなことを言うよね。うちの妹はお転婆でな、なんて言ってたんだけど。君みたいな子をどう見たらそんな感想になるんだい?」

「兄にはそういう風に見えているのでしょうね。ご存知の通りしっかりとした兄で、家でも学校と同じような感じなので。それに……」

「なんだい?」

「今日は私も、少し……緊張しているので」


 声を小さくしてそう言う琉火はどこか気恥ずかしそうだった。その不意の仕草が可愛らしくて、仁吉は少しどきりとしてしまった。


(……どうしよう、チョロすぎないか僕?)


 仁吉は動揺を隠すためにメニューを手に取りテーブルに開いた。


「そ、そういえば……注文がまだだったね。それとも僕が来る前に何か頼んであるのかい?」

「いいえまだです。私は……そうですね、先輩と同じものでいいですか?」

「ま、まあいいけれど?」


 仁吉は少し困惑しながらも、時折この店に来る時に頼むブレンドコーヒーのモーニングセットを二つ頼んだ。

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