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BARBAROI -鬼方の戦士は八徳を嗤う-  作者: ペンギンの下僕
prologue4“inside my core”
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maniac game

 花屋敷(はなやしき)聖火(きよか)はボードゲーム同好会に所属している。そして今はその活動で教室を借りて、同じく同好会のメンバーである南茨木(みなみいばらき)琉火(るか)と活動に勤しんでいた。

 活動といっても集まってボードゲームをするだけであり、参加も自由である。メンバーはまだ他にもいるのだが今日来ているのはこの二人だけだ。


「……誰もこないわね」

「こないね」


 聖火の呟きに琉火は相づちをうつ。


「千里山先輩はほとんど幽霊部員だからまあいいんだけどさ」

「週一でしか活動してない同好会の幽霊って成仏してるようなもんじゃない?」

「琉火あんた……地味に酷いわね」


 そう言いながら二人が今やっているのは七並べだ。基本、活動に使うボードゲームは部員が各々やりたいものを持ち寄るのだが今日は二人とも何も持ってきていなかったため、たまたま聖火が持っていたトランプをしている。


「今から先輩呼んだらこないかしら? 二人は暇よ」

「あ、先輩ならたぶん無理だよ。最近、ノベルゲームに嵌まったらしいから。図書室でもたまにやるくらいだからよほどだよ」

「先輩、電子のゲームとかやるのね?」


 聖火は意外そうな顔をした。


「同人ゲームらしいけどね。『鎌倉御前と13人』って乙女ゲームだってさ。そういやキヨちゃんはボードゲーム以外でゲームする?」

「まあ、格ゲーとかはたまにするわね。というか先輩が乙女ゲーってますますイメージつかないんだけど? ああでも、活字のイケメンに恋するって意味なら本読むのと同じようなもんなのかしら?」

「そういうゲームって必ずしも恋愛がメインってわけじゃないからね。普通に超能力バトルを立ち絵つきにして、くっついた相手によってラスボスが変わるようなのもあるよ。キヨちゃんはそういうの好きそうだけど?」


 その話に聖火は食いついた。


「ふ、ふーん。ちなみにどんなのがあるわけ?」

「といっても私もそんなに知らないんだけどね。あ、でも前に兄さんから借りたのは面白かったかな。『死剣と魔槍のボーイ・ミーツ・ガール』ってやつ。シナリオライターが有名な作家らしくてね。無名の時にサークルで作ってもう製造はしてないらしくて、一部のコアなファンの間でプレミアがついてるんだってさ」

「リバイバルとかされないわけ?」

「だって間違いなく元が取れないもの。私は好きだけれど人を選ぶのよね」


 そう言われて聖火はかえって興味が湧いた。


「ざっくりどんな話なわけ?」

「ギャルゲーなんだけど、主人公の男の子がバトル大好きでさ。舞台は千年に渡って光と闇の勢力ってのが争いを繰り広げてるファンタジー世界でさ、主人公の所属してるのはグメーズィシュンって傭兵集団なんだ。そいつらは金次第で光にも悪にも味方する。その中で主人公が関わるヒロイン次第で結末が変わるって感じね」

「な、なかなか壮大な話ね。それにしても主人公の組織、なんか覚えにくくない?」

「たぶんゾロアスターだよ。読んでるとこういう馴染みのない横文字がたくさん出てくるわよ。古い同人ゲームだから当然、キーワード辞典みたいなものもないわ。ライターのこだわりとかで、漢字にこういう言葉のルビを振る、みたいなこともしてないしね。このあたりが一部のマニアにしか受けない理由じゃないかしら?」


 琉火は冷静に分析している。好きだとは言ったが、思い入れが強くて熱く推してくるようなことはしない。そしてそういう風にされると聖火はむしろやってみたいと思った。


「ねえ、今度それ貸してくれない? あ、でも副会長のなんだっけ?」


 琉火の兄は前年度の生徒会副会長であり、委員会会議で面識のあった聖火は今も時おり癖でそう呼んでしまうのだ。


「気にしないで。ここまで勧めておいて探して買ってなんて言わないわよ。兄さんには私が頼んでおくから」

「ありがとう琉火!!」


 聖火は満面の笑みを浮かべた。

 その顔を見ながら琉火は聖火に言う。


「ところで、私からも一つお願いがあるんだけどいいかな?」

「何?」

「キヨちゃんってさ……保健委員長の南方先輩と幼なじみなんだよね?」


 琉火は少し俯いて、照れくさそうにしている。

キャラクタープロフィール更新しました。今日は「烏丸彷徨、東向日日輪、伊丹孝直」です

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