ghostbusters_2
「それで、そういう組織があるってのはわかったよ。でも今まで秘密裏に活動してたんだろ? ああいう怪物なんていないって建前でさ。ならなんでこないだはあんな大っぴらに出てきたんだ?」
仁吉は蔵碓に聞いた。
本当は、生徒会長をやりながら裏で怪物退治の組織にまで所属していたという無茶なダブルワークを責めたい気持ちもあったのだがそれは歯を食い縛って呑み込んだ。
「それがわからんのだ。一週間前といい、今日といい、何故そんなことが起きたのかがわからなくてな。そもそもこの地はそう多く怪異が出るような地ではないので人員もそう多く割かれてはいないのだ」
そう答えた蔵碓の言葉で仁吉は一人納得していた。
(なるほど。それが不八徳とやらの仕業というわけか。こいつの言う怪異ってのと御影さんは別口っぽいな)
それが仁吉の所感である。
とはいえ確証はない。それでもわかっていること、知っていることだけでも蔵碓に話しておくべきなのだが、
「お前にわからないのなら僕みたいな素人にはもっとわかりそうにないな」
自分でも無意識のうちに仁吉はそう口にしていた。
ターグウェイのこと。不八徳のこと。そして――信姫のことを隠してしまったのである。
代わりに、
「ああそうだ。お前のところの副会長も僕と同じような力を持ってたぞ。あいつにも話を聞いてみたらどうだ?」
仁吉は躊躇いの欠片もなく泰伯を売った。面倒事を丸投げした形である。
「というわけで、話が終わったなら僕は行っていいか? 今もまだ騒動が起きてるんだ。仁美と聖火の安否を確認しなきゃならない」
「ああ、それなら心配はいらん。もう騒ぎは収まっているし、二人と風紀委員長は先ほど保護した」
蔵碓にそう言われて、はじめて仁吉は張り詰めたような顔を少し柔らかくした。
「そうか。――ありがとう、蔵碓」
仁吉は蔵碓には顔を見せないままそう言った。