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BARBAROI -鬼方の戦士は八徳を嗤う-  作者: ペンギンの下僕
chapter2“a*en**r b*ea*s *ein**r*ation”
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south barbaroi army advance_2

 泰伯は自分なりに考えた悌誉への対策を二人に話した。


『――このやり方でどうだろう?』

「……まあ、現状では最善じゃとは思うがの」


 悌誉の炎のライン――その道を引いているかどうかを見分ける術がない以上、どうしても多少の賭けをしなければならない。

 だから蒼天は難色を示したが、泰伯の提案した策以上のものが出てこないのも事実だった。

 そもそも蒼天――荘王はあくまで国家のリーダーであり軍事の専門家ではない。臣下の策を聞き、情報を元に決断する立場ではあったが、策を立てることを専門にしていたわけではないのだ。

 当然、泰伯もそれを得意としているわけではない。中国史や漢文を趣味としており漢文の兵法書を幾つか読んだことはあるが、全てを覚えているわけではないしそれを元に軍略を立てたこともない。

 だがそんな話をしていても現状は好転しないし、今いる人間の頭で考えた最善と思える方法を取るしかないのだ。


「ど、どうするんスか? 蒼天さんの兵隊さんたちもそろそろやばいっぽいッスよ?」


 桧楯の言うとおり、その数は先ほどよりもさらに減っていた。


(ううむ……。博打としては分は悪くない。しかし、あの燃える巨人は未知数じゃ。ここまで何もしてこないのが不気味である。じゃが桧楯の言うとおりもう時間がないのも事実――)


 蒼天は悩みつつも、ついに腹を決めた。


「よし、それでいく。桧楯は余とヤスタケどのに指示をせよ。道の上を通りそうになったら止めてくれ」

「わ、わかったッス!!」

「それとヤスタケどの――」

『あの炎の巨人のことだね?』

「話が早いの。あれが動き出したら死ぬ気で止めてくれ。余や兵士らが巻き添えになっても構わぬ!!」

『了解』


 そう答えた泰伯だが、その言葉に保証はない。いざあれが動き出したらどうなるかはわからないからだ。

 あるのはただ――自分の言葉を嘘にしないという覚悟だけである。


「では――いざ進軍!!」


 そして蒼天が号令を叫んだ。

 泰伯は走りだし、蒼天もまた桧楯を乗せてチャリオットを走らせた。

 これがこの戦いの最後の攻防となる。

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