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第3ワン 勇者と召喚

―シソーヌ王国宝物庫・聖剣の間




 その堅牢な造りと厳重な警備、そして霊験あらたかな雰囲気すら感じさせられるその建物は宝物庫というより神殿の様であった。その中心部に祭られるように保管された鞘入りの長剣。これこそが、かつてこの地に現れ平和をもたらした勇者の用いた剣。名を聖剣ヴァーバノワーナ。




「聖剣ヴァーバノワーナよ、魔導士ミクリヤ・シソーヌの子孫たる我が願いを聞き入れよ。今一度、この地に勇者を、異界より勇気あるものを顕現させ給え!!」




 台に飾るように立てられた聖剣の、1間ほど前に描かれた魔法陣。シソーヌ王家に伝わる召喚陣に向かい、ミクリヤ女王は両手をかざす。その時だった。




「おおっ魔法陣が光を!」




  大臣ハッセを始めとする家臣や兵士達は歓声を上げる。伝承のみで知る召喚の儀式が目前で行われ、尚且つ成功しようとしているのだ。




 そして、光に包まれた人影が現れる……




「えっ?何!どこここ!?」




 驚いた様に周囲を見渡すのは、少し長めの黒髪をした子供。そして、その傍らには白と黒の体毛をした獣。双方ともずぶ濡れで体中から水滴を滴らせている。




「……子供!?」




 ハッセが思わず呟いた。




「確かボクはジローと一緒に荒川で溺れて……って事は、ここ、天国?それとも地獄?」




「ここは竜の地アラパイム。そして私が治めるシソーヌ王国という所ですわ。勇者様!」




 ミクリヤはずぶ濡れの子供の前に片膝を突き、頭を垂れる。そして、女王に続きハッセら家臣も同じく跪く。




「おばさん達、誰?その服や回りのセット、映画の撮影?それに勇者……?」




 刹那、子供はクシャミをし、獣はブルブルと体を震わせ水滴を辺りに飛ばす。




「勇者様がお風邪をひいてしまわれますわ!あなた達、お着替えを用意なさい!」


「はっ!!」




 女王に命じられ、数名の女官が子供を別室へと連れて行く。自らの置かれた状況が解らない子供は流れに身を任せ、獣は主について行く。




「女王様……」




「何かしらハッセ?」




「あの者は本当に勇者なのですか!?私にはただのわらべカニスにしか見えなかったのですが……」




「王家に伝わる召喚術を疑ってますの!?……それに、あの子が真に勇者か否かは、あの聖剣で試せばよいのです!!」




 女王は祭壇に祀られた聖剣ヴァーバノワーナを指差した。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 一話ごとが短くてサクッと見れるところがいいと思います。 また、締めの文がしっかりしている印象があります。 [一言] 引き続き読ませてもらいます。
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