物語の始まり ウォルド
運命なんてくそくらえだ。
人の人生が、最初から最後まで全部決まっているなんて、受け入れられるか。
俺は、俺の道を自分で決めてあるいていく。
だから、あいつの道も自分で決められるもんであってほしかった。
俺の名前はウォルド。
友人と共に、のんびり旅をしている身だ。
世界を見て回って、その日暮らし。
もともと夢なんてもん、なかったから、友人の夢を叶える助けをしてるってわけだ。
「世界中を見てまわりたいんだ」だなんていうあいつは、大層なロマンチストだけどな。
そんなもんだから、男二人のむさくるしい旅で、あちこちの町々や村々を回っていたんだが、道中で問題がおきた。
生意気な貴族につっかっかかられてしまったのだ。
友人は一般的ではない見た目をしているからな。
そういうのが気に障るってやつには邪魔でしょうがないんだろう。
一皮向いちまえば生き物なんて、そう変わりゃしねぇよ。
中身なんて、みんな同じなのにな。
それで、因縁をつけられた友人は、その気に食わない貴族に捕まってしまった。
濡れ衣をきせられて、だ。
こんな状況でのあいつの末路なんて考えたくもない。
どうにかなる前に、早く助け出さねーとな。