新しい生活
あれから、凄い数年だったと思う。
優月ちゃんは両親やおじいちゃんなどに許可をもらう為色々と話をつけてくれたらしく、
少しずつ、チャットで連絡を取り合った。
お互いに見合った物件探しは自分の仕事だ。
職場にも詳しく説明して納得行くものをとてもよく探した。
家賃も広さや部屋の数、収納スペースやらもしっかり確保した。
正直内緒で家賃の部分などは高いところにしていたりと、優月ちゃんのために動いている部分もあった。
「度々、カメラ電話してたけどやっぱり会いたいなぁ……明日か。」
優月ちゃんからのお願いで、同居初日まで会うことは禁止になった。
正直言って我慢出来ないと思っていたが、カメラ電話の許可を貰ったために頑張れた。
「寝れん。やばい……楽しみすぐる。」
ベッドに寝転がり、抱き枕に抱きつくと気づけば朝になっていた。
チャットがすごく沢山来て居て、優月ちゃんが『もうすぐ着く』と約1時間前に来ていた。
「…あ、やば。」
いつもの癖で、休みの日は半日寝ているもので
目覚ましなしだとついつい、長く寝てしまう。
「…えっと、とりあえず」
『ごめん、今起きた』
『今どこにいる?』
と送ったら、すぐ即読が付き
『おはようございます。』と来た。
優月ちゃんは、自分がこうなることも予測済みらしく、カフェで時間を潰していたそう。
しかし、とても大変なことになった。
一時間もあんな可愛くて美人な優月ちゃんを一人でカフェに……!!
「飯食ってる場合じゃねぇ…!!」
軽装に整え、直ぐ様優月ちゃんが居るところへ向かった。
カフェから外が見える席に座っていた優月ちゃんは世界一可愛かった。予想以上に大荷物ながらもカフェでまったりとしていたので、急ぎ席に向かった。
「……ごめんね。優月ちゃん」
「悠花さん。久しぶり。やっと会えた。」
「私も…私も会いたかった……!タクシー呼ぼうね。重かったね。お金出すから。」
「悠花さんは相変わらずだなぁ……ふふっ、」
数年経った優月ちゃんの笑い方は変わらずもどこか大人びていた。
優月ちゃんの笑顔は何歳になっても好きだ。
0歳の頃から見ていたもの。
「ねぇ、きみたち」
ふと男の声が背後からして来た。
そこには全くもって知らない男の大人3人がいた。
「……?」
「俺たちと遊ばない?…まぁ、君は可愛いけど隣は要らないけどさぁ」
隣は要らない!?!まぁ、私30越えてるし
むしろ男たちの言うことはわかってるけど
さすがに今それを言う?!
少し混乱をしていると、優月ちゃんは苦笑いで
鞄の中をごそごそし始めた。
男たちも自分もきょとんとしながら見てると
鞄の中にある物を取り出すと、紐を引っ張り
凄まじい音を店舗で鳴らした。
「……ッ」
「ゆ、優月ちゃ、ん?」
優月ちゃんが手に持っていたのは防犯ブザーだった
あれは過去に私が渡した物で
私の手を取り、荷物を持ち珍しく大きな声で
「……悠花さんは、貴方たちがすぐ見てわかるような人ではありませんので失礼致します!!」
「え、あっ……失礼します」
店をあとにすると、優月ちゃんはぴたりと止まり
自分の方へ振り向くと荷物を下ろし
抱きついてきた。
「……ごめんなさい。」
「大丈夫…大丈夫だよ。ありがとうね。」
「…うん。」
「あとね。防犯ブザーそろそろ止めようね。」
「…あ、ごめんなさい。」
「じゃ、行こうか!」