0:中間の物語《アメリアとアイル》
こう言う途中に最初が繋がる書き出し好き侍おじさん。
おじさんは閃の軌跡とかの始まり方が好き。
中間の物語
勇者の物語はサトウユイの手で終わった。
そして彼女らの冒険はここから始まった……。
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「ねーちゃん待ってよぉ……!」
「遅いですわぁ!あはは!」
私の名前はアメリア・リーベルト6才。そして、弟アイル・リーベルト4才。
彼女ら姉弟は姉は天真爛漫に育ち、弟は姉の影に隠れがちな性格。
母譲りの馬鹿げた身体能力の姉と、並みな運動能力の弟。
父譲りの亜麻色の髪の姉と、母のように白髪ではないにしろ全体的に色素の薄い弟。
彼女ら姉弟を端的に現すなら、非凡な姉と凡な弟……。だろうか?
「お待ち下さいお二人とも……!はぁはぁ!アメリア様はぁ……!はぁ……!早すぎます……!」
そして、ヴェレダ・マリオン十歳。
彼女の立場は、父ウィル・マリオンがセイラ・リーベルトに仕えており、彼女はその父と同じように姉弟に仕えている。
生まれながら使用人という立場に不満など抱くことはなく、二代揃ってリーベルト家に支えていられる事に至上の喜びを得ていた。
「ヴェレダ!かーさまのところへ行きますわよ!急ぎなさい!!」
「……まだ!走るのですかぁ……!?ひぃー!!」
「はぁ!はぁ!まってよぉ!ねーちゃん……!」
今日は母のためにクッキーを焼いたのだ!
母に少しでも早く元気になって欲しいから……!
少し品がないかも知れないが、母の病室まで駆けそして戸を大きく開けた。
私が参ったと母に伝えたかったのかもしれない。
「……かーさま!お久しぶりですわ!」
「わぁー、リア、大きくなったわ!それにアイルも!……さぁ、おいで」
「……!!かーさま!えへへ!すぅー……、かーさまいーにおい!」
「おかーちゃん……!僕も抱っこ!えへへっ……!」
父が母の為だけに作ったこの隔離病棟、彼女らの生家からは子供の足では少し距離はあるが、母の為ならば毎日でも往復しても苦に成らない、問題ない程度ではある。
彼女らが聞かされた母の容態はちょっと体調が悪く、そしていつか治るという希望。
そしてヴェレダが聞かされていて、この街で姉弟意外が知っている容態は、彼女はもうじきドラゴンに成ってしまうかもしれないという絶望。
そしてこの施設はそうなった時に速やかに彼女を処理し、仮に失敗したとしてもセイラが討伐に迎えて尚且つ守るべき彼女等に被害が及ばない距離。
残酷にもそう聞かされている。
「ヴェレダちゃんも久しぶりねぇ、また美人さんになったわ……」
「……っ!!……こくっ!……ありがとう、ございます……。おく、さま……!」
緊張が走り体から水分が根こそぎ奪われるかのような感覚に襲われ、彼女は生唾を呑み込み、精一杯のぎこちない笑顔を浮かべる。
「(聡いお二人に気付かれてしまいますね……)」
「奥さまご容態はいかがでございますか?」
「……そうね……、セイラ君にも伝えておいて貰えますか?ぼちぼち。と」
「……っ、承りました……。そう御当主にもお伝えしておきます」
母の視線がヴェレダを捉えている。
ここに来る度いつもそうだ。
「むー!!かーさま!そんなことより!私クッキーを作りましたの!かーさまに召し上がっていただきたくて!」
「……僕もね!手伝ったの!」
「……あら!上手ね……!?ありがとう二人とも」
優しく撫でてくれる母の手は記憶とは少し違う感触に思えた。
それでも母の優しい手を私は生涯忘れる事はなく、出来れば子を成した時私もそう出来たらと思う。
ユイ・リーベルトはこの世界に再び魔王を産み出す可能性を孕んだ、まさに開けてはならないパンドラの箱……。
魔王と勇者は対となる存在であり、魔王が勇者を産みその逆もしかり。
大きく振れた波のように強すぎる力、それに対抗する強い力を自浄作用的に産み出してしまう。
今代は魔王が居たから勇者が産まれたが、まだその勇者が生きている。
しかしその勇者ユイ・リーベルトは、過去魔王との戦闘でほとんどの力を使い果たしており、直ぐに魔王が産まれる可能性はないと考えられている。
しかしそのほとんどの残りが問題だった。
彼女の冒険の途中ドラゴンと戦いそして、ドラゴンに半分以上冒されている。
毒でもなんでも喰らい溜め込み、すべてを糧に力に変えてしまう。
いつでも勇者として復活してしまう可能性があった。
「美味しそうねぇ……。後で頂くわ」
「今!今食べてほしいんですの!」
「ん~……、でもお母さん病気だから……」
母の視線が一瞬揺らぎ、ヴェレダを見た気がした。
ヴェレダも母を気にしている気がした。
その二人のアイコンタクトのように通じあっている何かが堪らなく面白くなく、母が困ってしまうかもしれないのに、癇癪を起こしてしまった。
「かーさまなんなんですの!さっきからヴェレダの事ばかり気にしてますの!私をもっと見て欲しいですの!頑張りましたの!」
「ご、ごめんなさい。リア……!わたしも……、リアとアイルが頑張ってくれたから……、食べたいわ……!」
「ならどうして食べてくださらないの!かーさまは私よりもきっとヴェレダなんですわ!」
「……ごめんなさい……リア……」
まただ……。
「もういいですわ!かーさまなんてだいっ嫌いですの!!」
「リア……!」
「待ってよぉねーちゃん!!」
病室を飛び出してしまった。
つまらない癇癪が母との最後の会話だと思うと堪らなく後悔しかない。
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疲労から完全に一瞬意識を失っていたかもしれない。
それてそれは母がいる暖かくもう二度と取り戻す事の出来ないものだった。
「……涙……。んっはぁ!……じぃっ……、死んでます……わよね?……はぁ……」
「……懐かしい事を思い出していましたわ……。アイル達は上手くやったかしら……ッぶぅ!」
「……只では死にませんよぉ~!ケタケタケタ!……一緒に来て貰いますわ!」
「あッ……、がぁああ!……っんあ!!」
完全に気が緩んでいた所を背後からの一突き。
それをした敵を完全に沈黙させるべく、母譲りの技で反転し蹴り倒す。
そいつはびしゃっと水が弾け影が滲むように地面の染みとなり、そして光る様に消えていった。
最後にそれだけはしっかりと確認し、ドカッと大の字でた折れ込む。
「んっ……!はぁはぁ!ドジってしまいっ……!ましたわ……!私がこんなでは世話ないですわねっ……っくはぁ!」
完全に油断してしまっていった。
想像を絶する程の激戦に注意力は落ちきり、影の一言にらしくもなく姉としてアイルの心配が勝ってしまった。
「……ばっかですわね……、私も……。アイルの方が本当は私より強いのに……、おこがましいったらないですわ……」
「……後は頼みますわ……、アイル……、ヴェレダ……。はぁっ!……銀、ごめんなさいですわ……、愛していまっ……したっ……わ……」
絞りきった後に不注意による不意討ちで、結果相討ちという情けなさに泣けてきた。
銀とアイルとヴェレダの写真が入ったロケットを握り締め、虚ろに高い空を眺める。
ああっ……、懐かしい事を思い出していた……。
出来れば最後に母の胸で泣きじゃくり、ごめんなさいと伝えたかった。
たった1つの願いも叶えることが出来ず、アメリアは浅い呼吸を繰り返していた。
誰かが隣に居てくれる事もなくやがて涙が一筋、何も写していない虚ろな瞳から溢れ落ちた……。
どうもおじさんです。なつみんです。
はよぶれいぶすとーりー!2書き上げろや?