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Day Dream  作者: ユ・サド・クアザ
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第21夜 -通知-前編

 ポンペン!

 スマートフォンにインストールされているSNSアプリの間の抜けた通知音が鳴る。


 高校入学と同時に持つ事を許可されたスマートフォン。

 自宅にパソコンがあった事もあり、特段それが便利だと思った事は無かったが、配信サービスや動画サイトでいつでも好きな音楽が聞けるので重宝していた。

 メッセージアプリを使っていない訳では無かったが、連絡先を交換したのは主に男子連中だけだったので、一日中かぶりつくような使い方はしていなかった。

 連絡先交換の例外は須田と大滝であるが、両者とも用事が無ければ連絡をしてこないので、電話以外の手段があるからと言って距離が縮まると言う訳でも無いようだ。


 エアコンが全力で稼働しているとは言え、決してさわやかとは言い難い夏の音楽室の昼下がり。

 夏休み期間に設けられた部活動の自主練習期間。

 自主練習とは言うものの、部長である倉本からは「一年生諸君、夏休みは無い物と思へ」と言うお達しがあった。我々1年生は全ての日程を出席しなければならないのであろう。


 「あくまで自主練習なので、参加したい人だけ参加するように。」

 夏休みに入る前の練習中、顧問の斉藤はそのように説明をし足早に音楽室を去って行った。

 事前の部長の発言を真に受けていた一年生は全員キョトンと言う顔をする。


 誰彼ともなく一斉に部長へ視線を向けると、独特のくどい顔立ちをくしゃっとつぶし

 「まぁ、ほら、こういうのは伝統だから」

 と、結局参加すべきなのか、しなくても差し支えが無いのか、解らない発言をしていた。


 決して部活動が嫌いな訳ではない。

 特に休む理由があるわでもなく、夏休み期間中にも意中の相手に会えると思えばむしろありがたい位だった。


 午前中一杯使ってみっちりと行われる基礎練習を終え、少し長めの昼休みの最中にスマートフォンの通知が鳴った。

 ポンペン!

 もう少し気の利いた通知音は無かったのだろうかとも思うのだが、この通知音を聞くとどこか心が高鳴る自分が居る。


 「くにーちゃん、なにニヤついてるの?」

 日焼けしやすい体質なのか、8月もまだ前半だと言うのに顔が黒く焦げている生井が弁当を片手に聞いてくる。

 

 「あーいや、まぁ。なんでもないよ。」

 意中の相手以外からの連絡を喜んでいるのは、なんとなく後ろめたい気がして適当にごまかしつつ、誰からものぞかれないようにそっと通知画面に目を落とす。

 もっとも、意中の相手との連絡先交換は叶っていないのが実情だが。


 <夏休みの間に映画でも観にいかない?家の近くまで迎えに行くよ。>

 画面には、ともするとデートの誘いのような文言が踊っている。

 恋愛経験が皆無と言っても差し支えのない自分には、この文章が一体何を意味するのか全く解らなかった。


 いや、一緒に映画を観るという事はデートの誘いなのかもしれない。

 しかしながら、少なくとも楽しい連絡である事には間違いがない。

 少なくとも青春の1ページに刻めそうな内容である事には違いがない、そう期待するには充分な物であった。

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