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Day Dream  作者: ユ・サド・クアザ
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第18夜 戦争-後編-

背中にヒヤリとした汗を掻いている。

目の前には肩で息をしている仲間が真っ赤に充血した目でこちらを見ている。


ほんの数秒走った先にある次の建物のすぐ隣には迷彩服の一団へ応戦している仲間がいる。

そこへ辿り着いたからと言って安全が確保されるわけではないが、生きる為にはそこに向かう必要があった。


既に反対側の建物にまで到達している敵の一団からの攻撃を抜けつつ味方の元へ辿り着くには、決死の覚悟で飛び出す他に方法が無い。

しかし、タイミングが解らないのか、目前に迫る死への恐怖からか目前に居る男はここまでの勇敢さが嘘のようにぴたりと止まってしまった。


次の建物までの短い間にも、死屍累々とその様相は様々に、数分前までは人間であった仲間達が転がっている。

飛び出した所で無事にたどり着ける保証はない。

しかし、ここに居ればそれは確実に死を招くのだ。


チュン!と足元へ銃弾が届く。

直接撃たれたものではなく、どこかに当たった弾がはじかれた物であろうが、それでも身の危険を脅かすカウントダウンである事は明白だ。


男と視線を交差する。

大きくうなずくと、意を決して建物と壁の間から飛び出すべく走り出す男。

自分もその男へ続いて走り出す。


飛び出してから1秒にも満たない時間。

前の男が右手からの連続した銃撃に倒れた。


このままでは自分もその銃撃に巻き込まれてしまう!

そう頭では理解したものの、体が言う事をきかない。


「止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ!!!」

頭の中で激しく叫びながらも、足を止める事が出来なかった。


「!!!」

刹那、右のわき腹に強い衝撃を感じる。

その衝撃でバランスを崩し、先に倒れている男に足をかけてしまう。


自分でも驚くほどの勢いで飛び出したのであろう。

そのまま大きく、そして派手に転んだ自分の体を制御する事はできなかった。


ゴロゴロゴロ・・・と転がり辿り着いた先は港湾を見下ろす事が出来る絶好の位置だ。

頭は海の方へ向いており、視界の上方には綺麗な海が見える。

下の方へ視線を向けると仲間がまだ必死に反撃をしている。


あぁ・・・ここで終わるのか。

一生の終わり方としては、あまりにも不甲斐ない終わり方に残念な気持ちである。


撃たれた箇所の痛みは感じない。

むしろ、妙な心地良さがあるのが不思議だ。


現実の世界で不慮の事故にあったとして、その時も夢の中の世界である今と同じような心地良さを得られるのならば、それは抗いがたい死への恐怖を和らげてくれるに違いない。


意識が無くならない事が不思議だが、体から流れ出た濃い赤い色を液体は身動きできない自分の視界に容赦なく入ってきている。


指の一本も動かす事が出来ない。

もう間もなくだ。

死が訪れて、目が覚める。

朝を迎えたら何をしよう。


何気なく港湾へ向けていた視線が、地面を弾く銃撃の一連射を捉える。

チュンチュンチュンと間を置かず三回音が聞こえる。


感覚とはまた面白いものだ。

一秒間に何十発も発射する銃から発射された弾の音がとてもゆっくりと聞こえてきた。

一発ずつ着弾地点が近づいてくるのもしっかりと把握できた。


四回目の音が聞こえる代わりに頭部に激しい衝撃を感じる。

その瞬間からの視界は定かでない。

しかし、頭がゴロゴロゴロとまたしても三回ほど地面を転がって行くのが解った。


最後に聞いた音は自分の頭が転がる音だ。

まるでフェードアウトするように視界が暗くなっていく。

真っ暗になった後も、周囲の音が耳に入る。

少しずつ少しずつ感覚器官が削がれていく感じだ。


最初に撃たれてから、どのくらいの時間がたったのだろう。

ほんの1分程の出来事だと思うのだが、少なくとも今日一日過ごした時間よりは遥かに長く感じる。


ようやく聴覚も途絶えた頃、ふっと意識が無くなるのが解った。

夢の内容は筆者自身が見た事のある夢がベースですが、この夢は随分昔に見たんですよね。

もう30年近くも前に見た夢の内容を事細かく覚えているというのは不思議でなりません。

この夢を当時も戦争と言う言葉は知っていましたが、大人になってから思い起こせば時代背景は朝鮮戦争だったのではないかと思います。


前の男が飛び出した直後に止まらなきゃ!と感じたにも関わらず、結局体を止める事が出来ずそのまま銃撃に巻き込まれ「頭で解っていたのに!」と非常に悔しく、そしてなんとも情けない感情を抱いた事も覚えております。

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