2.ロゼリア・ロッテンシュタイン
「ロゼリア!?目が覚めたのか!」
「よかったわ…どんなに心配したかっ……!」
「お父様、お母様?」
どうやら、思い出す前の記憶も完全に残っているようで、すぐに自分の両親だと言うことがわかった。まあ、二人の見た目でわかったけど…。お父様はアルバート、お母様はソフィアという名前だ。お父様は銀髪に濃い青色の目で美形だ。お母様もさらさらの金髪に翡翠色の目をした美形。二人揃うと周りに金粉が舞っているような幻覚に陥りそう……。。
「本当に心配したぞ。これでロッテンシュタイン侯爵家はしばらく安泰だ……。大事な娘がようやく目覚めたのだからな。」
ん?ロゼリア……ロッテンシュタイン………?
「あ、あの…お父様、お母様。まだ体調がよくないので一人にしてもらってもよろしいですか…?」
「ん?そうか、ゆっくり休みなさい。ひどい高熱が出たんだからな。本当に、まだ5歳だというのに……。」
「はやく治して元気になるのよ。」
お父様とお母様が部屋から出ていった後、またしても鏡を覗き込んだ。
ロゼリア……ロッテンシュタイン……って…。この派手な銀髪と翡翠色の目……。
「『夜恋』の悪役令嬢じゃない!!!」
ちょっと神様!何で悪役令嬢なのよ!本当に何してくれちゃってんの!
「最悪…。せっかく転生できたと思ったら……!!」
落ち着いて……!落ち着くのよ……!
ゲームでのロゼリアは高飛車で我が儘な、THE・悪役令嬢であった。化粧も濃く、派手な装いで攻略対象に媚びる様子はとてもひどかった。攻略対象と仲のいいヒロインが気に入らなかったようで、取り巻き達とよくいじめていた。ゲームでは、ハッピーエンドでは処刑、ノーマル・トゥルーエンドは修道院行き、バッドエンドでは攻略対象と愛の無い結婚。どれも最悪だ。運営を恨みそう……。
「こうなったら、ゲームのことを思い出さないと……。」
机の引き出しに入っていたノートに日本語で書き出していく。もし侍女とかに見られたらまずいもんね。
この国はアルバレス王国。ゲーム通りなら魔法が使えるはず。でもゲームのロゼリアは水属性だったけど、ちょろちょろとしか水を出せなかったんだよね…。ものすごくしょぼい。いや、今から練習してたらなんとかなるかも。今度試してみよう。
そして、攻略対象たち。
レオン・アルバレス 金髪/青色
属性 火
アルバレス王国の第一王子、つまり王太子。「夜恋」のメインヒーロー。周りからの期待を背負っている。誰にも隙を見せられないため、心身ともに疲れている。いつも自分のことを気にかけ、笑顔で話してくれるヒロインに癒され、恋に落ちる。
ルイス・ウォード 黒髪/濃い緑色
属性 風
アルバレス王国の宰相(ウォード伯爵)の息子。父とのすれ違いに苦しむ。自分のことをいつも信じてくれるヒロインに好意を抱く。
レイモンド・オルティス 金髪/水色
属性 水
オルティス公爵家の養子。急に公爵家の分家から引き取られ跡継ぎになり、自分の立場について悩んでいる。自分と似た境遇のヒロインに興味を持ち、次第にヒロインの明るさに魅入られていく。
ノア・フォーサイス 銀髪/琥珀色
属性 全
フォーサイス子爵家の次男。3歳の頃に魔力暴走を起こし、それ以来家族や周りの人達に気味悪がられている。自分を必要としてくれるヒロインを好きになる。
ロルフ・ハワード 赤髪/茶色
属性 土
アルバレス王国騎士団長の息子。父と比べられている。自分自身を見てくれたヒロインに好意を抱く。
そして、ヒロイン。
ベルリーナ・スピネット 金髪/桃色
属性 光
スピネット男爵の隠し子で10歳の時に男爵に引き取られる。頑張り屋で明るく、いつもみんなを笑顔にさせる。
ざっとこんなものかな。処刑エンドになる可能性があるから、絶対に攻略対象とは会いたくないなあ……。家柄的に会うしかないだろうけど。
「あーもう嫌だ!さっさと寝ようー。」
ああ、神様!どうかトラックに轢かれたのも異世界転生してしまったのも夢で、目が覚めるといつもの朝でありますように!
でも私、枕変わると寝れないんだよねー。とか考えていたけど一瞬で眠りにつきました。
あー、このベッド悔しいくらいに寝心地いい!さすが貴族。