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供え文  作者: 齋藤ごんきょう
3/7

問い

相変わらず剥がれる気配の無い鉛色が覆う空を眺めているとホームルームの合図が鳴り担任の瀬野が入ってきた。無論、入ってきたことに気付いているのは若干名で大多数のクラスメイトは話が尽きず着席する気配もない。見かねた瀬野が注意をすると皆がそれぞれの席に向かい、一瞬の静寂が教室を覆った。

 「良いか、何度も言わせるなよ。チャイムは単なるBGMではないからな。意識をしろ、意識を!」

 「てなわけでホームルームを始めるが今日は一点、来週の金曜日までの課題を出すからな。今から配るアンケート用紙に必要事項を記入して提出するように。書く分量は任せるが空欄だけは認めないからな、良いな!」


 「アナタノユメハナンデスカ、って…夢についてかよ~。いよいよ本格的にこうゆう質問が来るお年頃かぁ~、俺らも。ぎぁ~。」

三つ前の席から敢えて片言で質問事項を読み上げる佐竹の反応で課題の内容を俺は察した。


 「お前らに限っては問われない限り考えようともしないだろうからな。社会に出る前のこの大切な時期に課題として考えるきっかけを与えてやったわけだ、しっかり自分と向き合い考えてくるように、良いなっ!」


 「はぁ~い」

瀬野の熱量とは裏腹に返されたクラスの返事は、まるで放たれてすぐ急降下を始める紙飛行機のように消沈したものだった。


 あなたの夢は何ですか?


 物心ついた時から両親や親戚、知り合いなど関わる人の誰かしらがどこかで投げかけているこの言葉。シンデレラや仮面ライダー、年齢が年齢ならユーモアたっぷりの回答でその会話を成立できる時期もあった。しかしながら今配られたA4ペライチの紙から放たれているこの問いにはそんなユーモアは必要とされておらず、今後の自分の人生についての明確な答えを揃えなければならない。目には見えないうねりの様なものが痛いほど俺の鼓膜を揺らし、来週までに何らかの答えを出さなければいけない焦りと葛藤でホームルーム途中から降り始めていた雨に俺は気づかなかった。



 「夢…

     か…。」


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