8話
ユウが唐突に「明日からギルドの依頼で遠征するから」と言い出した。
ずっと薬草以外断っていたと思ったら、さすがに怒られたらしく嫌だなぁと呟いて部屋に帰っていった。
となると、俺も何か準備しておかないといけないと思ったけど、そもそも俺に私物なんてものがない、強いて言えば着替えを持っていくくらいだろうか、ユウが買ってくれた服が’(やたらかわいらしいデザイン)あるからそれをまとめていたら部屋にノックしてユウが入ってきた
「ん?トウカなにしてるんだ?」
「服まとめてたんだけど‥‥」
「なに!?まさか出ていくのか!?」
何言ってるんだと呆れて明日の遠征でまとめていたって言ったら、ユウは元々連れて行く気がなかったのか「そのことか」なんて笑っていた。
「俺がいなくて寂しいのか?トウカ君」
「ごはん‥どうすればいいの?」
「俺がいなくてもお金は置いていくし、町で買ってくればいいだろ?」
町に出るのが面倒なのと、町の人が俺に向けてくる視線が嫌なので行きたくないのだが
「外出たくないから‥」
「明日について行くのも外だろ‥‥いやちょっと待てよ‥」
まさに的確なことを言いかけて、ふと何か考え込み始めすぐにいつもの笑顔になって
「よし明日一緒に行こうか」
何を考えたのかは知らないけど一緒に行くことになった。
荷物は何も持たなくていいよとか言われて、なぜかと疑問に思ったらユウがマジックアイテムなるもので袋の中に入れるらしい、だからこいついつも手ぶらだったのかとも納得した。
「そんな危険なところに行くわけじゃないから装備なんかはいらないと思うけど、武器くらい買っておくか」
なんだかんだ俺はこの世界にきて魔物なんていうものに出会ったことがないのでなんともいえないけど、ユウを見ている限り結構余裕なのかもしれない。
それに魔物といえば獣人というだけで俺も魔物みたいなものなのかなとも思った。
「なに変な顔してんだよ、俺の傍から離れない限り何も危ないことなんかないから安心しとけ?」
「また襲いにきたりするかもしれないから遠慮しとく‥」
ユウは苦笑いしながら部屋に逃げた、あれ?あいつ結局何の用で来たの?
まぁ、あいつも結構馬鹿なので内容忘れているのかもしれないし思い出したらまた何か言ってくるだろ。
準備もしなくていいと言っていたので俺は何も気にせず寝ることにした。
結構早い時期い起こされて、町の出口に向かうと護衛対象である馬車があり、それで近くの村まで行くらしい、行きで1日村で1日滞在の帰りで1日の計三日の旅路らしい
なんでいつも断っていたのに護衛の依頼受けたのか気になったら昔冒険者として右も左も分からないときにその村に良くしてもらったから少しでも貢献したいとのこと
今回の護衛対象である馬車で村には嗜好品であったりするものを売買して普及することが目的だとか
商人だから金のために行うのだろうし実入りが少しでもいいのかもしれない。所詮は金である。
「トウカと俺は真ん中の馬車に乗るんだけど、車酔いとか大丈夫か?」
「酔ったことない」
「まじか、俺は結構ひどくてな酔い止め先生に頼りっぱなしだよ」
そして何か取り出して飲み干すと不味いのか顔をしかめていた。
俺は周りを見て、見知った顔がないか確認すると、見当たらないのであのおっさんはこの中にはいないのだと安心した。
「なんで真ん中の馬車なの?守るなら先頭とか後ろじゃないの?」
「あぁ、どちらにも駆け付けれるようにってのもあるけど、そもそも隣村との間で盗賊なんていないからな、いても魔物くらいだから」
盗賊が出ないとも限らないけどな、と言う。
「まぁ、魔物も種類にはよるけどこの付近ではあまり知恵が回らないやつばかりなんだよ」
「よく分からないけど分かった‥‥」
苦笑されたが、多分どこに行くかによって場所を先頭だったり後衛だったりで変わるらしい
しかし盗賊が出たらどうするんだろう?とずっと疑問ではあるが余程自信があるのか大丈夫大丈夫と笑っている。
「そろそろ出発するらしいから行こうぜ!」
そして馬車に乗り込もうとしたのだが、この中結構狭い
とりあえず端っこに寄りつつ座ると、ユウも対面に座ってきたのでひざとひざがぶつかるのである
「ユウ、そんな装備で大丈夫なの?てかもはや私服だし」
「大丈夫だ、問題ない」
何かのネタなのか知らないけどすごい決め顔で言われたので苛立った。というか突っ込まれたかったのかそのあとすぐに落ち込んでいた。
「わかんないかぁ‥‥」
「突っ込まれたかったなら先に言ってくれたらするよ」
「これからボケるって言えるわけないだろうが!」
くだらないやりとりをしていると馬車も進みだして、その際に装備についても「俺は強いからここらへんの魔物相手なら余裕だよ」と笑っていた。
こいついつか足元すくわれるなと確信しつつも、少なくとも俺よりは強いのだろうから何も反論はしないでおく
外を眺めてガタゴトガタゴト走っている風景を見ているだけで気分が少し気楽に感じるけれど、何か月も前とはいえ馬車での生活が思い出されるため少し胃が重たい
ユウは何が楽しいのか相変わらず気持ちの悪い笑顔だし、年中笑顔でいるんじゃないかと思って表情筋壊れてるのかななんて思ってしまう。
「トウカはさ」
「‥‥?」
「今楽しいか?」
急にそんなこと聞かれても‥‥楽しいかと聞かれると、楽しくないとも楽しいとも思えないとしか言えない
「俺は楽しいよ」
本当にこいつは悩み事なさそうだと思い無視して外を眺めることにした。
そのあとも何か話しかけてきたけど適当にうんうん相槌だけした。
その後飽きもせず俺がずっと外を眺めているからかユウも外を見て、村までに幾度か休憩を挟みつつも日が沈む前には到着し、馬車を降りると
「兄ちゃん!!」
子供がわらわらと集まってきた。
「久しぶりだなゴン!前よりでかくなったか?みんなも久しぶり!」
「兄ちゃんまた剣術教えてくれよ!」
「ユウさんわたしあやとり少しできるようになりました!」
順番に子供たちの対応をテキパキとしているから、慣れてるんだなぁと思っていたら、子供の一人が俺を指さして
「この子だれ?兄ちゃんの女か!?」
「え!わたしたちとそんなに歳変わらなそうなのにおくさんなの!?」
奥さんて、彼女すっとばしているな、てかそもそもそういう系統じゃないし
ユウが何か言ってくれるだろうと思ってたら何も言わないから見てみると、こいつは頬赤らめて照れていた、なにしてんねん
「‥‥違う」
「兄ちゃんそんな趣味してたのかよ!」「ユウさんこういう子が好きなんですね!」「たしかこういう人ろりこんて兄ちゃんいってなかったっけ?」
俺の言葉が小さかったのか普通にスルーされてしまった。
「まて!俺はロリコンじゃない!」
違うそこを弁明するんじゃないそれより前を否定すればいいだけだろとユウを睨むと苦笑しながらみんなに「違うんだよ」とようやく説明しだした。
「なんだよ、相変わらずおくてなんだな!「違うよおかあさんがユウさんはへたれって言ってた」「兄ちゃんには10ねんはやい」
結構厳しいことを言う子供たちだけど、ユウは満更でもなさそう顔をしているので、俺の中でこいつはロリコンでMなんだと固定することに――
「トウカ!なんか嫌な寒気を感じたんだが変な勘違いしてないか!?」
「‥‥別に」
そのあと嘘だーとか叫んでいたが村の大人たちが商人と話しを終わらしたのかユウの方にきて話し始めた。子供たちは遊び相手がいなくなったからか俺の周りに集まって「あそぼー」って迫ってきた。
「トウカちゃんはあやとりできる?」「ばっか冒険者なんだから先にじつりょくを試しておかないとだろ」
ちゃん付けされたことにどことない違和感を感じるけれど、あやとりなんて箒しか作れないし、まして俺は冒険者ではないんだよと思ったが、会話する前に引っ張られたり勝手に話が進んでるので追いつけてない
「トウカちゃんはわたしたちと遊ぶの!」
「こんな見た目でも強いかもしれないだろ!?」
仕方ないので一緒に遊ぼうと思ったが、特に遊べるネタもなく困っていたら、いつの間にか話が終わっていたのかユウがこちらをニヤニヤ見ていた。助けろよ
「あのお兄さんが遊んでくれるらしいよ」
そう言うとみんなもユウに気づいたのかわらわらと突進していって「トウカ!」と言いつつも子供たちの相手をしだした。
俺はそこら辺の意思に腰かけてぼんやりと眺めていようと思ったら
「もう暗いんだからうちにかえっておいで!!」
と誰かの母親なのか一目散にみんな各自の家に帰っていった。
「トウカ、どうだ?みんな可愛かったろ?」
「‥‥ロリショタコン‥」
「俺のことか!?なんてこと言いやがる!!」
そして宿屋らしいところに行くまでにユウがロリショタコンを否定することはなかったのでマジもんなのだろうと納得した。そもそも俺の見た目そこそこ幼い方なので、今更すぎたのかもしれない‥‥発情してたし‥
「今日は一緒の部屋だけど大丈夫か?」
「‥‥嫌だと言ったら?」
「残念ながら一つしか部屋ないからな、仕方ないと諦めてくれ」
お前は外で寝ろよと言うのも可愛そうなので嫌々ながらも承諾する。
ちなみにその日は襲われた‥なんてこともなくユウがソファで俺がベッドで眠ることになった。
以前未遂とはいえ、一度襲いかけられたこともあってか少し不安ではあったが、ちょくちょく真面目なこいつは「一緒の部屋はやはりだめだったかもしれない」とか呟きながら早めに寝るようにしたらしい
俺も寝るかと思い横になると、いつもとは違って不安に思うことなく眠れた気がする。
何故かは‥‥知らないが