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4話

 手続き等を済ませ、俺の首輪が男に契約されたらしく、この男が死ねと言えば死ぬほどの電流が流れたりするらしい




 そうして久しぶりに外に出ると少し肌寒くて体が震えた。本当に久しぶりだ。


「えと、これからよろしくね!」


 俺に手を差し出してきて、俺がそれをしばらく眺めていると恥ずかしくなったのか、「寒いし服を買いに行こうか」と歩き始めた。





 それに付いて行ってると、店について店員と知り合いなのか話した後店員が俺にこれは違ううかなぁとか呟きながら服を当ててきた。


「すごいわねユウ君、この子耳くらいしか継承してない獣人ハーフだわ」


「え?それって珍しいんですか?」


「珍しいっていうかあまり見たことはないわね、大抵牙や尻尾が生えてたりしても性奴隷に向かないって抜かれたり切られたりした子ならいるけど‥‥」


 店員が俺の体をぺたぺた触りながら興味深そうに言ってくる。


 髭親父も俺のことをそれで褒めたりしていたし、商人のおっさんがニヤニヤ俺を売り飛ばした顔を思い出したりして嫌な気分になる。


「この子って名前とかもう決めてるの?」


「決めてるっていうか、元の名前があるならそのままにしておきたいなって思ってますよ」


「なんていうのかしら?」


「えと‥わかんないです」


 それくらい聞いておきなさいよと男に目を向けて、男もはははと笑って帰している


「家に帰るまで落ち着かないだろうし、ゆっくりしたときに聞こうかなと思ってるんですよ」


 そう言って優しい笑顔を俺に向けてきた。やめてほしい、売られた時の記憶が思い出してしまう。


 そうして俺が何も言わなくても服が決まったらしくボロシャツから小綺麗な格好になった。


 文句を言っていいならスカートだから外にでるとやはりというべきか寒い


「よく似合ってるよ」


 そう言ってくれるが、俺的にはあまりうれしくないのだが‥‥






 町を歩いて数分くらいしたら一軒家に着いた。


「これからここが俺たちの家だよ!」


 満面の笑みだが、ここで俺は犯されるのかと思うとやはり嫌な気分にしかならない


 わざわざこんな服を買ったりするってことは性奴隷目的なのだろうし喜ぶことなんて一つもないのだ。






 家の中はシンプルな2階建ての家、というかほとんど必要最低限の物しかない、居間にはテーブルとイスだったり、部屋を紹介された時にはベッドやクローゼットだったりで簡素であった。


 居間に案内されて椅子に座っていると、男は自己紹介をしようと言い出してきた。


「俺の名前はユウだ、冒険者していて実はこの家も買ったはいいけどあまり帰ってなかったりで汚くなってるんだよね、えと‥君の名前教えてもらえるかな?」


「‥‥」


 沈黙が続いた。


「あの‥‥名前教えてもらってもいいかな?」


「命令ですか?」


 ご主人は目を瞬かせてう~んとうなった後、やはり笑顔で「よかったら教えてほしいなって思うんだ」と言ってくる。


 こいつはもしかしたら笑顔が能面のように張り付いていて呪われているんじゃないのかと疑ってしまうから、俺の嫌いな笑顔を俺に向けてこないでほしい。


「好きに呼んでください」


 別にいじわるで教えないわけではない、奴隷商で名前は捨てろと言われたから名乗らないだけで、今では灯火ではないんだと自分に言い聞かせているに過ぎない


 この男はそれでも納得してないが


「分かった。じゃあ命令だよ、元の名前を教えてほしいんだ」


「‥‥灯火」


「トウカ?なるほど、良い名前だね!」


 何を根拠にこいつは良い悪いを決めているのかは知らないが世辞の類なのだろう。


 わざわざ奴隷に対応が丁寧なのは奴隷初心者なのか、こいつの性格なのかは知らないけれどもしかしたら案外チョロいご主人なのでは?と思ってしまう。


 すると商人のおっさんの笑顔を思い出したので気分がわるくなった。


「まだ慣れないことばかりだろうけど、これからよろしくねトウカ」


 俺はこいつよろしくはできないだろうなと思った。


 そんな風に思ってもユウはそう思ってないのか勝手に俺の手を握ってきた。


「はい、よろしく」


 勝手によろしくしてんじゃないよと文句を言いたいけれど、まぁ黙っておけばいいかと思い何事もなく終わった。



 そのあとユウが食事を作ってくれて食べたりして普通に美味かったので頷いて食べたのだが、それにこいつは気づかず普通に食事が終わり、体を洗うのも庭にある井戸からユウが水を運んでくれたりしたので俺は何もせず就寝することになったりした。


 ちなみに体を拭く際は部屋で拭いたのだが、どうやらユウとは違う部屋らしいのでとても安心した。やはり自分の個室があると落ち着く、鉄格子のように周りの視線があったりするわけでもないから心が楽だ。


 そして部屋で睡眠をとろうということでユウが俺のことを犯しに来るのかとも思っていたが至って普通に「おやすみトウカ」と笑顔で部屋の前で別れた。


 不安に色々危惧していたが、なんだ、杞憂かと思い、もしかしたらこいつはヘタレなのではないかと考えた。ヘタレ最高!ヘタレご主人良き!と久しぶりに眠気が早く迫ってきた。

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