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こいつのことを好きになるとは思えない  作者: メルメル
1章―ダンジョンと魔法
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3話

「朝は案外弱いのねトウカって」


「別に‥早すぎるだけだから起きれないだけ」



 朝も青い子に起こされて、ユウも起きていたのか朝食等済ませた後はまだ若干暗くはあるけど目的のところはまだ遠いらしいので早めに出発した。



 そして今更ながらに気づいたけど、ダンジョンとやらを攻略したらもう一回この長い道程を歩かなければいけないのかと思うと鬱になりそうな気がする。


 ユウは昨日私が早々に眠りに行ったのが怒ったように見えたのか今日はやたら話しかけてきたりしていた、ほとんど無視してたけど「今日はトウカが飯を作ってくれたら嬉しいな」とか面倒くさいことを言ってるくらいで、疲れた様子を一つも見せない‥おかしいな私と一緒にぐうたら生活してたはずなのにこの差は慣れなのだろうか


 ちなみに私はすでに方向感覚がおかしくなってどういう道を歩いてるのかわかってないけど、二人とも迷った様子もなく歩いてる、何かコツでもあるのかもしれない






 幾度か休憩を挟みつつもひたすら歩いて、魔物が出ればユウが突進してを繰り返して日も沈みかけるという頃合いのときに「もう着くわ」と青い子が教えてくれた


 森であることに変わりはないけど、建物らしきものがあって、四角い豆腐みたいな石作りで出来ている、なんというか『これはダンジョンですよ!』と言ってるかのようなすごい露骨な作りで怪しさ満点である。


「これ‥ダンジョン‥?」

「ゲームとかでも大体こんな感じの見た目だろ?」

「いや‥ゲームと比べられても‥‥」

「げーむ?何を話してるのあなたたち」

「ごめんよアリ―、俺らの故郷ではダンジョンが出てくる‥えーっと作品みたいなものがあってだな」

「私色々衝撃なのだけど、え、故郷一緒だったの?」

「あー‥それはだなアリー‥」

「あぁごめんなさいね詮索しちゃったみたいで、仲が不思議なほど良い‥ていうかユウが一方的なのがなんとなくだけどわかったからいいわ」


 何が分かったのかは分からないけど、下手に誤解を解こうとしても異世界から来ましたと言われた方が混乱するであろうから「悪いな」とユウも弁明はあきらめたみたいだ。


「とりあえずここまで二人ともお疲れ様、今日はこのままここで野宿することにして、その間に作戦も決めておきましょう」







 休憩所のときと同じくユウだけに働かせて野営準備をしてもらうことにして、私は何故か起こり気味な様子で青い子に迫られた


「トウカ!少し話があるの、今まで散々機会を失っていたけど今日はゆっくりと話しましょう」

「え‥私話すことないし‥」

「貴方になくても私にはあるの、まぁ移動中話すことでもなかったから先延ばしにしていたのもあるんだけど‥」


 それなら是非来世まで先延ばしにしてもらってもいいと思う。なんというか嫌な予感しかしないのだ


「まず何から話しましょうか、そうね‥私はユウとは比較的よく冒険に行くのだけどそのことについて何か話聞いてるかしら?」

「何も‥」

「そう、ま、今の様子から見ても話してなさそうだしね彼、前まではすごいピリピリした雰囲気っていうか、今みたいにだらしない顔をすることなく凄い男前だったの」


 想像できない‥わけではないが魔物と対峙するときみたいな顔ってことだと多分思う。


「仕事も常にしていて、ギルドの高額な依頼を目に留まるたびに受けていて、その彼が急に仕事をしなくなったのよ、ギルドや彼を知ってる人からしたら少しは休めと思っていたから最初は良かったんだけどね‥まあその彼が変わってしまった原因が奴隷の貴方がいるから腰抜けみたいに言われてしまっててね」



 それはユウが過保護なのもあるんだろうけど、私もユウがいないと買い物も満足にできそうにないからと極力二人でいるようにしているから少し申し訳ない


「一時はSランクに最速で辿り着くんじゃないかとも言われたのに腑抜けになってしまったからこそ、私は指名依頼したの」


 ずっと話させてしまっていて、のどが渇いたのか水分補給しつつ再度話を続けた。


「トウカもなんだかんだユウに依存してるのは分かるわ、貴方には種族的問題もあるのでしょうね、それに家族‥?みたいなものなんでしょう?だけど今回の件でユウが冒険稼業をまたやり気を出したら応援してあげてほしいの、彼のためにも」



 なんというか‥普通に良い子だなと思ってしまう。第一印象はとても高圧的な人なのかとも思ったけど、私に対してもいくつか変な勘違いをしているっぽいけど紳士的な対応でなおかつユウのために色々考えてるようだ。


「‥‥分かりました‥」

「ごめんなさいね、彼の望みのためにも協力して頂戴ね」

「望み‥?」

「望みというかやりたいことがあるらしいのよ、だからそのためにってこと、詳しいことは私の言うべきではないから機会があるなら本人にいつか聞いてみるといいわ、トウカならきっと話してくれるでしょうし」




 それってかなり前にユウが受付嬢とかに言ってたやつだろうか、今は満足していると言ってたけど、青い子は望みの内容を知っている雰囲気だし、もしかしたらユウは満足していると自分に言い聞かせてやろうとしてたことを諦めてしまったのだろうか‥なんというか罪悪感が芽生えそうである。


 よし、この冒険が終わったら私も少しは自分のことを自分でできるようにして、ユウを応援する方向で行こう。


 私が了承したことに満足したのか「私も少しくらいは野営手伝ってくるわ」と言ってユウのところに行った。


 何もしないのはあれかなと思ったので私も手伝おうとしたけどユウが「大丈夫だよ」とやんわり断ったので、手近にある石に座って眺めておくとする。




 いよいよ明日ダンジョンに入るわけだけど、少しわくわくもするし、魔物が出てきて殺されたらどうしようという不安もある。


 そんな不安などないかのようにしている二人を見て、私とは違う世界の人のように思えてしまう、いや異世界とかでなく次元的な物?が違うのだと思う。





 二人の明日の打ち合わせだけど、ユウが前衛、私と青い子が中衛、狭いところは私が後ろからついて行くという話しか分からなず、細かい作戦は相変わらず意味が分からないのでなんとなく分かったふりはしておいた。


「基本はいつも通りってことだな」

「えぇ、今回はトウカがいるから説明したけどそういうこと」


 ごめんなさいよくわかんなかったです。


「トウカは大丈夫か?」

「ユウに‥任せればおっけー?」

「途中にあったやつ全部省略したらそういうことだけど‥さっきの話聞いてたか?」

「多分‥」


 その様子を見ていて青い子がふふっと笑いながら


「さすがにダンジョンじゃ私も真面目に戦うから私にも頼っていいからねトウカ」

「‥分かった」

「自分にも何かできそうなときだけ相談してればいいからね」


 そう言い締めくくったようで「今日は休みましょう」と言われ、私は真っ先にテントの中に入って休むことにする。







「トウカ、起きなさい」

「‥?」


あまり寝た気がしないけどもう朝なのか起こされてしまい、2日間の疲れからかまだ体が重たい


「見張り当番よ、すぐにテントに行ったから貴方を最後にしたのだけど大丈夫?疲れは少しはとれたかしら?」

「んー‥」


 そういえば野宿の時は見張りをするとか言ってた気がする。


「慣れてないでしょうけどごめんなさいね」

「やって‥みる‥」

「魔物や、危ないことがあったらすぐに声をだして起こしていいからね」


 そう言うと青い子も疲れていたのか寝転び寝息を立て始めた。


 案外大丈夫なようで体力削れていたのかもしれない。そう思うと安心もしたけど、真っ先に休んでしまって申し訳なかった。




 気を取り直して見張り頑張らないと





 そして二人が起きてくるまで焚火が焚かれてあるところに腰かけて周りの音を聞いていたけど何事もなく、時間が過ぎて、ユウが最初に起きてきた。


「おはようトウカ、見張り大丈夫だった?」

「大丈夫‥」

「ごめんな慣れてないだろうから不安もあっただろうに」

「私あまり何もしてなかったから‥‥これくらい大丈夫」


 その後も申し訳なさそうな顔をしてたけど、私のいつもの調子をみて「ありがとうな」と言って朝食の準備を始めた。


 その後すぐに青い子も起きてきて若干眠たそうである。


「おはよう、お疲れ様トウカ」

「‥おはよう」


 朝食は会話も少なく手短に済み、ユウが「俺が必ず守るから安心していいからな」と私の周りをうろちょろし始めた。


「‥‥邪魔」

「あ、ごめん」


 初めてのダンジョンに挑むことになる‥‥あれ?そもそもなんでダンジョンに潜るの?


 いまいち目的は分からないけど、多分私が聞き逃してしまったのかもしれないので、今は集中してあとでユウに聞いてみよう。

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