2話
「い・い・か・げ・ん、起きなさいよ!」
「うぇぇ‥?!」
はっ!いつの間にか眠ってしまっていたらしい
「もう朝よ準備しなさい」
「え‥‥まだ暗いけど‥?」
「ダンジョンまで距離があるから早いうちに向かっておきたいのよ、野宿も下手にするよりは休憩所を経由したいしね」
よく分からないけど、今日はこの町からダンジョンへの中間地点にある休憩所に向かう?らしい
そんなに遠いところなのかと思うと面倒だが野宿と聞くとキャンプみたいでちょっと楽しそうな気がする。
「なんかわくわくしてそうな雰囲気してるけど、想像してるのと多分違うわよ?」
「そうなの‥?」
「当り前よ、先に言っておくけど休憩所に着かず野宿することになったら夜の見張り三人でするからね」
「見張り‥!」
「だからなんでちょっと楽しそうなのよ‥」
すごい冒険者っぽいようなことだ。なんだかんだ私は冒険とかしたことないし、異世界に来たんだなとこの世界に来てしばらくだけどしみじみとしている。
ユウも呼ばないといけないとかで青い子‥名前なんだっけ?まぁ青い子と一緒にユウの部屋に行くとすでに起きていたらしく、そして前回では魔物を切ったとき以外は見なかったけど、今回は腰に剣を携えている。
視線に気づいたのか、ユウは少しどや顔でいる。
「何この子に対して偉そうにしてるのよ‥トウカもいちいち剣に反応しても仕方ないでしょ?」
「ロマン‥」
「そ、そうなの‥」
異世界で剣をぶんぶんと振って魔物をばったばったと斬るのはやはり男の子ならあこがれてしまうものだろう、私もやってみたいと思う。思うけど猪みたいな魔物はNGで‥勝てる気がしない
「トウカは前回は渡しそびれちゃったけど護身用にこのナイフを渡しておくよ」
そう言ってユウは私でも持てそうなくらいのサイズのナイフと腰ベルトを渡してくれた。
腰につけてみると、スカウト?シーフ?にでもなった気分になる。できれば剣士とか魔法使いのほうが良いけどどちらもできそうにないので我慢だ。
「な、なんというか子供と初めて王都の買い物に行くような反応ね‥」
「あぁ俺もそう思う、可愛いな‥」
「ユウ‥昨日から思ってたけど貴方性格変わりすぎじゃない‥?」
「元からだ、気にするな」
「元から変態だったのね‥ごめんなさい」
「勘違いしてないか!?」
私が一人で感動してる間に楽しそうにしてるので、二人は本当に仲良しなのだろう。
とにもかくにもこのままでは時間を食うだけだからと青い子が先導して町の外に向かうことになった。
このまま歩いて向かうらしく、徒歩のまま町を出て、一見するとただのピクニックのような私たちは正直これから冒険に行くとかそんな感じには見えない。
ほかの人たちを知らないから比べたりできないけど、本来なら大きい荷物とか必要なのではないだろうか、とはいえよそはよそ、うちはうちであるし、ユウと青い子もこれから向かうであろうダンジョンのことを話し合ってるから私は風景を楽しみながら付いて行く。
ちょうどお昼ごろという時には休憩を挟み、ユウが「疲れてない?大丈夫?」と心配してくる。途中まで私の存在忘れていたんじゃないのかというくらい私のこと見てなかったのに今更である‥疲れたに決まっている。
「トウカこれから私たちは森を抜けて休憩所まで近道を通るから今のうちに休んでおきなさい?」
舗装されてない道を通るからさっきまで歩いた道より疲れると説明されて、まだダンジョンに潜ってないのに体力が先に限界が来るんじゃないのかなと不安になってくる。
「森の中だと魔物がいるかもしれないから貴方も周りにちゃんと気を張ってね」
「はい‥」
気を張ると言われてもどうすればいいのか分からないけど、私なりに頑張ってみよう
「それにしてもここまで来るとき弱音の一つでも吐くかと思ったけど、吐くどころか無言ね‥終始」
「あぁ、トウカは普段から何も言わないからな」
「普段どんな会話してるのよ」
「普段か、普段は‥何を話してるんだっけ?」
私を見るな、私に聞かれても何も話してないときしか思い出せない、というかユウが話しかけてきて私がそれに対して相槌いて大体終わる。
「そ、そうなの」
ちょっと引かれた、話すこともないのに会話するっていうのお難しいだろうに、私だけなのだろうか
雑談も終わりというように準備して、ダンジョンに再度向かう。
道から離れて山が見える方の森に進み始めて「気を付けなさいね」と言われ、ユウの方をみると「大丈夫」とニヤニヤしてる、こいつが真剣になるときは魔物がいるとき限定なのかもしれない
二人とも疲れてないのか歩く速度も変わらず 進んでいく、私はこんな長距離移動なんて久しぶりというか、ユウと一緒にいるようになってからはまともな運動なんて村で遊んだ子供たちとの鬼ごっこやかくれんぼと、猪魔物との追いかけっこくらいなものでさすがに休憩挟んだとしても大分疲れている。
そうして私も気を張れと言われたので、なんとなく気を張って?歩いていると草をかきわけるような音が聞こえてきた。
二人は気づいてないのか草の音がする方へ向かっている。
「ねぇ‥」
「ん?トウカ何か言った?」
「音がする?」
「え?しないけど?」
というやり取りをしてユウが耳を澄まして聞こえたのか「本当だ!」と言って青い子も気づいたようで戦闘態勢になった。
こちらから仕掛けるよりも一旦相手が出てくるのを待つようで、妙な緊張感が場を包んでいた。
てっきりユウのことだからまっすぐ走って斬るのかと思ったけど、冷静に対処するみたいだ。
今回は二人がいてくれることもあって、恐怖もないし大丈夫と思いながら様子を見ていると、のっそりとゼリーのようなものが出てきた。これは俗に言う‥スラ――
「ユウ!!スライムよ!!」
「おぉおおお!!!」
テンションが爆上げされたユウが剣をスライムにひたすら叩きつけ始めた。
青い子も「やったー!」ってテンションを上げている、レアモンスターだったのだろうか?
そして叩かれ続けてやられたのか、ゼリーがどろっと溶けたように崩れ落ちた
「まさかこんなところで出会えるなんて思わなかったな」
「本当ね、運が良いわとても」
そして二人はビンを取り出して、ドロドロになったスライムをビンに詰め始めた。
討伐部位?なのかは知らないけど、もう倒したようだし私も近づいて見ると、私はあまり生理的に受け付けないような感じがする。見ているとドロドロ具合が気持ち悪い
「ねぇ‥スライムってレアなの?」
「あ、そういえばトウカは知らなかったな」
「あらそうなの?それなら丁度よかったじゃない」
二人とも笑顔で、先ほど詰めたスライムビンをぐいっと飲み干し始めた!?
「ぷはぁ!うまい!」
「さすがスライムね!」
‥‥うぇ‥‥
「トウカも飲んでみろよ!すごくスライムは美味しいんだ、スライムは栄養もあってそれで美味しいから町に帰る前に大体冒険者が食べつくしてるから野良で見かけるのはあまりないんだ」
だからと言ってそれを飲む勇気は私にはない‥
「俺も最初は魔物を食べるなんて!と思ってたけど一回味わってみるともう病みつきになっちゃってな」
「むしろ普段から食べれるものじゃないから初めての冒険でスライムが出るなんて、結構持ってるわね」
二人してスライムの残骸をまたビンに詰め始めたので、私は拒否の意味も込めて、遠くから見守ることにした‥‥
そうしてスライム騒動のあと二人は元気になって、私は疲れて、数度魔物お遭遇した。
ゴブリンと言われる緑色の体をして角を生やした魔物で、一瞬でユウが斬り殺した。ちなみに4体をほぼ一瞬だった。
次に見つけたのはカマキリのような魔物で一瞬でユウが倒した。ちなみに2匹
その後も一瞬動いたような木を私が「あれなに?」と聞くと「トレント種か!」と言ってユウが一瞬で‥私も青い子も何もすることなくユウが突っ込んで大体一瞬で倒してくる。
「さすがユウね、この調子でお願い」
「アリーも少しは手伝ってくれよ、いくら弱いと言っても剣が刃こぼれするかもしれないしさ」
「まだそんな安物の剣を使ってるからよ‥お金あるんだからちゃんとしたもの使いなさいよ」
「高い剣使っても1か月でボロボロになったからなぁ」
「もうそんなに冒険に出るつもりないんでしょ?それなら安物よりあっちの方がお得でしょ?」
「‥‥天才か!!」
「あなたね‥」
どういうことか聞いててよく分からないので今日は基本的に私は一緒にいるはずなのに暇である。聞いたら答えてくれるのかもしれないけど、急に話に混ざるようなコミュニケーション能力を私は持ち合わせてないので、魔物を見つけることが何故か私の方が早いので音と周りに集中しておくようにする‥‥せっかく一緒にいるので仲間っぽいことがしたい‥‥
日も傾き始めたというあたりで歩いてると集落?というのだろうか?キャンプ場のような小屋がいくつか建っているところに着いた。
「ここが休憩所よトウカ」
「冒険者ギルドの人が派遣されて作られる休憩所なんだけど、こういう拠点が色んな所にあるんだよ」
それは危なくないのだろうか?と私が思っていると
「少なくともBランク以上の実力者だから、彼らが負けるようなことは早々ないよ、前に言ったと思うけどランクで強さが決まるわけじゃないとはいえ、言うなれば彼らは野戦専門だからね外で魔物と戦う場合においては俺たちより強いと思うよ」
実際の対人戦もそこそこに強いらしい、盗賊なんかも相手にするそうで、それでいて彼らがやられるようであればAランク以上で対応するから、実質盗賊は町から離れたギルドもあまり管轄してない地域にしかいないようである。
たしかにユウも村に向かうとき盗賊はいないよ見たいなこと言っていたけど、それが理由だったのかもしれない
「とりあえず今日はここで一泊してから、また明日の朝には出発だからなトウカ」
「今日も私と同じ部屋にしましょうね」
とりあえず疲れているので、早々に眠りたい。
簡易的ではあるとはいえ、調理器具があるためユウが食事を用意してくれた、青い子は料理できないのか食べる前からユウが作ると聞いてから少し嬉しそうにしていた。
また二人で話し始めたので、私は喋ることも少ないから早く食べ終わって暇なので「‥寝る、お休み」とだけ言って自分の部屋に向かう。
「あ!ちょっとは待ちなさいよ!」
「と、トウカ!お、おやすみな!」
何か言っていたけど無視して進み、部屋でベッドに潜り込むと早々に眠れた‥
*あとがき*
あまり進展してないことに気づきました。