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1話

 特別なことをしたかったわけではないのだけど、自分にも物語の主人公みたいな力があって‥‥英雄なんてものになれるんじゃないかなとか思ったことがある。




『ぐるるぅ』




 けれどそれは夢物語であって、事実は目の前に起きている現実がある。




 だから‥‥だから‥‥!何もできない自分が嫌だった。




「助けて」


「助けてやる」















 なんてことはない日常を謳歌している学生たちの一員である俺こと水無瀬灯火はラノベを読んだりして休日を過ごしていたのだが、夏休みで遊ぶ友達もおらず二階の部屋でクーラーをガンガンに優雅な一日を満喫していた。


 夏休みの宿題を放棄していたのが原因だったのか知らないがクーラーが故障したのか急に暑さを感じて怠いなぁとやるせない思いがあったため扇風機の電源をつけて寝た。


 時間にしたら結構眠った気がしたのだけどそうじゃないのだろう。家が燃え盛っていた。


 あまりにも唐突な出来事すぎて頭がパニックになったけどそこは持ち前の精神で耐えて‥‥なんてこともできずに怖くて逃げるために窓から飛び降りて、家を囲っている柵に首をチョンパで死んでしまった。


 あまりいらない情報かもしれないけど首が急にふっとんでも少し意識があるみたいでくっそ痛い上にありえない恐怖心が迫ってくると同時に闇も迫ってきた。







「何もせず救助を待ったりとか考えなかったんですか?」


「あの‥‥何とかなると思って‥」


 はぁ、とため息をつかれて目の前にいる、曰く神様に近しい存在の一角であるらしいクレィジアさん


「あのもしかして転生してもらえるとかいうやつです?」


「迷惑ながらも死んでしまったのに転生してもらえると思うのですか?」


「あはは‥ですよねぇ‥‥」


 俺が涙目になりながらちらちらとみていると更に深いため息をしたクレィジアさん


「まぁ、迷惑ですがあなたの魂に信仰を促す必要もあるため、魂は運びます。」


「おぉ!それでは‥!!」


「気が早いです。話を聞きなさい」


「はっはっは!何を言ってるんですか!お手を煩わせるわけにはいきません!俺はあなたの忠実な僕ですからね!早速いきましょうよ!!」


 なんとしても気が変わる前にやってもらわないといけないという俺の直感が告げているのだ、善は急げ、果報は寝て待てである!


「最後のは意味が違いませんか‥?まぁいいです。急げというなら急ぎますが手ぶらで別世界に送るのもなんでsーーー」


「チートもらえるんですか!?やったぁ!最強にしてください!」


「‥‥」


 正直名前は大層だけどこの神様白いぼんやりした見た目で正直頼りないというか、威厳みたいなものを感じれなかったから不安でしかなかったけど、少しは使えるらしい!


「魂が体に定着すれば違和感を覚えなくなると思いますので、それでよろしいですか?」


「あぁもう!何言ってるかわからないんでOKです!俺チュートリアルとか嫌いなほうなんで!」


 まるで虫でも見るかのような視線になっていってる気がするが、今言った通り俺はあまりまったりできない人間なのでそこは許してやってほしい


「では水無瀬灯火さん、貴方には――」


「これで魔法のファンタジー世界だぁ!!」


「‥‥はぁ、魔法が好きなようなのであなたには魔法の概念を差し上げて行きなさい」


 ん?概念とはなん――






 目が覚めると俺は少女になっていた。なにを言ってるかだって?俺にもわからない


 けれど自分の体を眺めたら依然の体ではなく、股にも大事なものがなく、胸は貧乳ではあるが多少のふくらみがあった。


 とりあえず落ち着いて周りを見渡してみるがどこかの街道なのか日本と比べるとあまり良いとは言えない程度に道が舗装されてある。


 そしてそこに小さいメモみたいな紙が落ちていて読んでみると


『灯火さんへ、神様です。私の信仰を胸に抱いて異世界を満喫してもらえるよう魔法の概念が定着する体に魂を移し替えてあります。それに伴い違和感が消えたら尚のこと満喫してもらえると思います。この世界はあなたが望んだものであり、しんでしまったらそれまでですのでそれを理解して生きてくださいますよう』


 ちょっと意味が分からないって思ったけど、読み終わると同時にメモは急に燃えてしまってもう読むことができなくなってしまった。





 気を取り直して魔法を早速つかってみるか!出ろファイヤー!!


 何も出なかった


「あ、呪文が必要なのかな?いでよ漆黒の炎!ファぁぁぁいぃぃぃヤああああああ!」


 何も出なかった。


 意味が分からない、体が女の子なのも意味が分からないが魔法もでない‥‥あ、俺が馬鹿なのか、なんか定着するまでどうたら言ってたからまだ魔力が足りないのかな?だからか!!


 ということでどうしたものかと困り果ててしまったが、なぜ俺がここに来て焦ってないかというと、そう!ここに向かってくる馬車が見えるのだ!それに乗せてもらおうという魂胆である。

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