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1ダメージで魔王討伐って出来ますか?  作者: 星原渚
1章・転移したけど魔王を倒せる気がしない
9/19

9・予感とパーティー

 「空きがないのですか?」

 俺は不吉な予感がした。


 まるでお嬢様のように受付の人と話していた少女は、こちらに振り向く。

 その少女は、金髪碧眼で少し幼い顔立ちをしている、服もピンクのドレスを着ていて、冒険者なんかが全く似合わないように見えるのだが・・・。

 彼女が右手に持っていたのは・・・、俺の背よりもデカイ巨大な斧だった。


 この先の展開は大体わかる。

 「どうしたんですか?」

 ザ・主人公のライトは何の躊躇いもなく声をかける。

 「それが、今この宿は、空き部屋が無いんです。」

 どうやら、昨日セラが借りた部屋が最後だったらしい、受付のお姉さんは申し訳無さそうに答えた。


 「だったらセラの部屋で一泊してはどうですか?」

 やはりそうなるか、そういえば俺がセラを誘うときもこんな感じだったな。

 「いいんでしょうか」

 「大丈夫だ。なあ、セラ」

 「ええ、大丈夫よ。」

 「ありがとうございます。このお礼はいつか必ず。」

 「そんなのはいいよ。それよりも、ロビーで話さないか?」


 今の所、全て俺の予想通りに話が進んでいる。少女が困っているのでライトが声をかけ、空き部屋がないのでセラの部屋で泊まる、となると、最終的にああなるだろう。


 「わたしの名前は、ノーラ・マルフォードと言います、ノーラって読んでください。」

 「僕はライト・エルティネスだ、よろしく。」

 「私はセラ・マルフォードよ、よろしく。」

 「俺はユウキ・クサナギだ、まあよろしく。」


 「ノーラは冒険者なのかい?」

 「はい、今日冒険者になりました。でも私を拾ってくれるパーティーがなくて、それで今、わたしを入れてくれるパーティーを探しているんです。」

 「なら、僕達のパーティーに入らないか?ちょうど1人空いているんだ。」


 予想通りだ、ただでさえ脳筋なパーティーに、アタッカーが入ってくる。これじゃ後衛は俺一人だ。

 「いいんですか?ではそうさせていただきます。」

 「大歓迎さ、せっかくパーティーが揃ったんだ、明日は、レッドドラゴンでも狩って、宴会でもしよう。」


 パーティーに入ってしまった以上仕方がない、脳筋じゃないことを祈ろう。

 あの武器を見る限りきっとアタッカーなんだろうが、俺は奇跡を信じて寝ることにした。

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