7・クエストと石
「準備はできたか?」
「バッチリだ。」
「こっちもOKよ。」
この世界に来てから3日目、とうとう俺はクエストを受ける。
「楽しみね。」
小さい頃から冒険者を夢みていたセラは、ものすごく嬉しそうだった。
実際俺も、ものすごく楽しみだ。
ギルドに着くと、ライトがクエストボードへ行き白い紙を持ってきた。
「とりあえず、レッドドラゴン討伐でいいよな?俺達初めだし。」
レッドドラゴン?ちょっと待て、それものすごくヤバいやつじゃん俺達じゃ無理だろ。
「まあ、初めだしそんぐらいよねー。」
いやいや無理だろ、なんでセラまで納得してるんだよ。
「ちょっと待て、レッドドラゴンなんてそんなヤバいやつ俺達じゃ無理だ、もっと優しめのやつにしようぜ。」
「何言ってるんだ?レッドドラゴンより優しめなクエストなんてないだろ。」
「へっ?」
聞くと、レッドドラゴンは竜の形こそしているものの、大きさも俺達程しかなく、この世界のどのモンスターよりも弱いんだそうだ、だが、その肉はどのモンスターの肉よりも美味しいらしく、最近はレッドドラゴンの牧場がたくさん出来ているらしい。
もう、俺のレッドドラゴンのイメージは丸潰れだ。
「クエスト内容はレッドドラゴンを五体討伐、行くぞー」
「「おおー」
町外れの草原に到着すると、目の前に三つの青い目がこちらを睨み付けていた。
戦闘が開始し、ライトとセラは、手前のレッドドラゴンと混戦中である。
その間に奥の方にいたレッドドラゴンにバインドを放ち、本当に1ダメージしか与えられないか確認してみたが、ファイアボールを撃っても、近くにあった大きめの岩を投げてみても、1ダメージしか入らなかった。
仕方がないので、三匹のレッドドラゴンとの戦いが終わったライトを呼び出し、四匹目を討伐してもらった。
「あっちから一匹きたわ。」
セラに言われて後ろを振り向くと、レッドドラゴンが1匹いたのだが、他のやつと何か様子が違う、よく見ると、そのレッドドラゴンは目の色が違う、緑色だ。
そのモンスターを一瞬で倒すと、目の前に灰色の石が転がっていた。
「この石はなんだ?」
「さあ?僕にも分からない。」
「でも、レッドドラゴンからのドロップアイテムだし、大したことないんじゃない?」
見るからにただの石だし大したことないだろう、でも、初めてのクエストの記念にカバンにその石をいれ、俺達は、ギルドへのクエスト達成の報告のため町に帰ることにした。
帰り道、俺のステータス表を見ると、レベルが2に上がっていた、どうやらモンスターを倒すと、トドメを刺した冒険者のパーティー全員に経験値が入るらしい、相手に1ダメージしか与えられない俺としてはとても嬉しいシステムだ。