3・カツアゲと仲間
「ここはどこだ?」
宿を探すために町を探索したが全く見つからない、裏路地らしき所に入ったのだがやっぱり宿なんてなかった。それどころか今はギルドの場所さえわからない。
「もう夕方かー」
空を見ると陽は沈みかけていて、所々に星が見える。そろそろ宿を探さないと夜になってしまう。
そう思った瞬間、突如腹の辺りに強い衝撃が走った。
「おっとすまねぇーな、お前見たところこの町に来たばっかみたいだからなー、カツアゲにとってはいい獲物だろ?」
異世界にまでカツアゲなんてあるのかよ、そんなことより、今はこの事態をどうするかが先だ、俺は他の冒険者より元々のステータスは高いが、俺はまだレベル1、さらに魔法は使えず、最悪なスキルのせいで相手に与えるダメージは1だけ、これじゃあ勝ち目がない。ここは金をおいてにげるか?それとも闘うか?
「待て!」
路地裏の出口からそんな声が聞こえた。
そこには1人の少年が立っていた。
「ちっ初心者とはいえ2人はちょっとキツいか」
そう言うと、大男は出口の方に去っていった。
「大丈夫かい?」
助けてくれた少年は俺に声をかけた。
「大丈夫、ありがとう助けてくれて。」
「助けるのは当然さ、困っている人を見るとほっとけないんだ。」
その少年は、ショートカットに赤い髪、緑色の目に困っている人をほっとけない性格、さらに、背中には格好いい大剣、まさに主人公のような男だ。
「僕はライト・エルティネス、ライトって呼んでくれ。」
ここでは名前と苗字が逆なのか、ということは俺も逆に言った方がいいな。
「俺の名前はユウキ・クサナギだ。ユウキって呼んでくれ。」
「それでなんだけどユウキ、僕のパーティーに入ってくれないかい?」
やっぱり主人公らしい性格だ、全く素性のわからない人物を仲間に入れようだなんて普通は考えない。が、攻撃性能が全く無い俺は仲間の補助しかできない、つまり補助する仲間が必要なのだ。
明日メンバー募集中のパーティーを探そうと思ったがちょうどいい、助けてもらった恩もあるしライトのパーティーに入ろう。
「わかった。俺をパーティーに入れてくれ。」
その後、ライトに宿へ案内してもらい、ライトと同じ部屋に泊まることになった。
部屋で聞いたのだが、今のところパーティーは俺とライトの2人だけらしい。