2・最高と最悪
目が覚めると、そこには西洋風の街並みが目にはいる。本当に来てしまった、異世界。
とりあえずこのままでは冒険なんて出来ないので、女神から預かった所持金を持ってギルドに向かう。
色々な人に道を聞きなんとかギルドにたどり着いた俺は、受付で冒険者になる手続きを行った。西洋風の町並みだからてっきり文明はかなり遅れていると思ったが案外進んでいた。それどころかステータスは見たい思えばいつでも画面として前に現れるらしい。ただし、初めのステータスは冒険者登録をしないと出せないので、今は登録が終わるのを待っている。
「登録が終わりました。」
ギルドの奥から受付のお姉さんが出てきた。とうとうステータスがわかる、この結果によってこれからのここの生活に大きく差がつく、そんな期待と不安を持ちながら、俺はステータス画面を開いた。
「何これ!」
ギルドのお姉さんの方を見ると明らかに驚いた顔をしている。
「こんなすごいステータス見たことがありません。レベル1でこんなにステータスが高いなんて特に魔力とMPが桁外れで、初めから、どんな魔法も習得可能です。」
やっぱり俺は主人公なようだ、俺が転移してきた理由はこれだったんだ。ここから頼りになる仲間達と・・・。
「あと、スキルなんですが」
俺が心の中で感動している時、受付のお姉さんはこう言った。
「これも初めて見るスキルなんですが・・」
今度も初めて見るとは言っていたが、今度の声は少し悲しそうだった。でもどんなスキルだろうと関係ない、俺はこんな高いステータスがあるんだ、スキル一つ悪くても問題はない。
「そのスキルなんですがそれが・・・・・・・・
相手に与えるダメージが全て1になる。
と、書いてあります。」
ちょっと待って、今何て言った?
「あの、もう一度言ってもらえますか?」
「はい、相手に与えるダメージが全て1になる。確かにそう書いてあります。」
前言撤回、俺の運命は、スキル一つで簡単に変わってしまった。
俺はスキル欄の所を見たが、やはり、そう書いてある。つまり、俺がどんな強い技を使っても全て1しか相手に入らないということ、つまり・・・・・俺に魔王は倒せない。
俺はステータス画面を閉じギルドをあとにした。
「もう夕方か。」
遅くなってはいけないので、俺は宿を探すことにした。