1・夢と異世界転移
「危ない!」
次の瞬間、俺の景色は真っ白に染まっていった。
目が覚めるとそこは真っ暗な世界だった。他には誰もいない、何故こんなところに?ここは何処なんだ?そう思いながらも俺は、この状況が楽しみでもある。
俺は昔からゲームの主人公に憧れていた。ゲームの主人公はいつもカッコよく事件を解決し、みんなから頼りにされる。誰の頼りにもならない俺は、ゲームの主人公は憧れの的だった。
そしてこの状況、ゲームやアニメで見る異世界転生じゃないだろうか?主人公が転生先で活躍するのは、もはやお約束といってもいい、俺もとうとう・・・、って転生って決めつけたけど俺って死んだのか?俺は先程までの記憶を思い返してみる。
確か・・・、いつものように一人で下校している時に、赤信号にも関わらず車が突然横断歩道を渡る少女に突っ込んできた。
「危ない」
気が付いたらここにいた。なるほど、やっぱり転生系だ。
「いえいえ、あなたは死んでいませんよ、なんで勝手に自分を殺すんですか。」
後ろからそんな声が聞こえた。誰だ?
「わたしは女神リーン、あなたはわたしが救いました。」
女神リーンと名乗るその女性は俺にそう告げた。
「救った?じゃあ異世界転生は?俺どうなるのー?」
「落ち着いてください、ちゃんと説明しますから。」
「いや、まだ転移がある。転移、転移・・・」
「いい加減にしてくれませんか!」
やべっ女神さんめっちゃ怒ってる。
「いいですか?」
「はっはい、大丈夫です。」
「あなたを連れてきた理由、それは・・・」
「それはー?」
「魔王を討伐してもらうためです。」
「いよっしゃー!」
俺は飛び上がった。
今の俺はものすごい笑みをうかべているだろう。
モンスターが蔓延る異世界で魔王討伐、今から楽しみで仕方がない。
「異世界で魔王が世界制服を企てています、お願いです異世界で魔王を討伐してくれませんか?」
「はい!」
「案外あっさりなんですねー、元の世界に戻ることも出来るんですよ?」
「何言ってるんですか?俺はこれから勇者に成るんですよ?なんで元の世界に戻るんですかー!」
「はっはぁー。」
あれ?若干引きぎみだ。
「すみません。俺の行く異世界ってどんな感じなんですか?」
「そうですね、では異世界の説明です。向こうの世界はあなたの世界でのRPGと似ています。モンスターが蔓延り、冒険者がモンスターを討伐します。RPGでいう技のようなものは全て魔法で魔力があればどんな武器も扱えます。そして、向こうの世界では一人一人にスキルが付与されます。生まれたときからそれは変わらず、永久にプレイヤーに恩恵を与えつずけてくれます。あとは、わたしがその世界の通貨の単位って所ぐらいですね。」
ちゃっかり最後に自慢していたがそんなのはどうでもいい。俺は嬉しいのだ、ついに俺が陽の目を浴びるのだ。こんな凡人生活とおさらばだ、仲間と共に旅に出て、幾多のモンスターと・・・ヤバい、めちゃくちゃ楽しみだ。
「そういえば、異世界に行ったら日本での俺の扱いはどうなるんですか?」
「日本でのあなたは死んだことになります。」
なら問題ない、俺は早急に頼んだ。
「異世界に連れていってください。」
「わかりました。では・・・・・。」
次の瞬間再び俺の景色は真っ白に染まった。