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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
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工房の設備

ゼロワンさんに続いて応接室を出て、来た道を戻る。

最初の扉は『性能評価室』だ。

ここはハピネスの練習で入ったから闘技場があることはわかってる。

ただ、闘技場にあるプニおさんが出てきた所と、その逆側がどこに繋がってるのかは知らないけどね。


「こちらはオキナ様も入られた通り、性能評価室と言う名の闘技場に繋がっています」

「空もあったのに『室』なんですね」

「そうです。ビスク様が『構築』スキルをフルに活かして作られた室内空間です」

「構築ですか?」

「はい。建築スキルを突き詰めて行くうちに到達するスキルの1つです。物を作ることに加えて、その物を組み上げることもでき、魔力さえあれば空間を作ることもできるスキルだそうです」


色々気になることを聞いたね。

スキルを突き詰めるってどういうこと?

それに、人形使い(ドールマスター)は生産系スキルの成長度が0.01倍のはずだけど、そこまで到達するのに数をこなしたのかな?


「どうされました?」

「色々気になることがあるんですけど、いいですか?」

「問題ありません」

「ありがとうございます。1つ目ですけど、スキルを突き詰めるってどういうことですか?」

「スキルはレベル上限に達すると、進化するもの、別のスキルを習得するもの、何も起きないものの3つがあります。構築は進化するものです」

「なるほど」


進化したり、新しいスキルを習得できるならレベル上げの意欲に繋ながるね。

人形の館(ドールハウス)人形の国(ドールキングダム)とかになるのかな?

大通りが追加されたりしてるから、いつか城が建ちそうだよね。

ただ、習得する場合に限って気になることがあるんだよね。


「スキルを習得する場合、スキルスロットが無いとダメなんですか?」

「習得は強制ですのでスキルスロットは消費されません。よって、自動的にスキルスロットが追加されます。ちなみに、職業専用スキルは進化することはありません」

「え?進化しないんですか?」

「はい。習得はあり得ますが進化はありません。すでにユニークスキルなので、進化する必要がないとのことです」

「そうなんですか……」


つまり、覚えてるスキルの中で進化する可能性があるのは衣装替え(ドレスチェンジ)だけってことだよね。

まぁ、習得できるならいいけど、進化の方が便利そうなんだよね。

だからといってスキルのレベル上げを疎かにするつもりはないよ。


「次は生産スキルのレベル上げについてなんですけど、先代は生産スキルの成長度が低いのに地道に建築してレベルを上げたんですか?」


0.01倍なのに黙々とつくらないとダメならきっぱり諦めるつもりだよ。

僕は旅していろんな景色を見たいんだよね。

だから必要なら生産もするけど、この特製のおかげでやる気はそんなにない。

先代が効率的なやり方を知っていたならそれを教えてほしいかな。


「ビスク様は数で対応していました」

「数ですか?」

「はい。自動人形(オートマタ)を大量に作成し、能力入力(スキルインプット)を使用してレベルを上げたいスキルを与え、それを使わせていました」

「え?能力入力(スキルインプット)ですか?」


確か、自分の所有してるスキルを人形に入力するやつだよね。

入力するために自分がスキルを習得しないとダメだから使い道がなさそうだと思ってたけど、まさか入力して使わせることでスキルレベルが上がるとは思ってなかった。


「入力するスキルはオキナ様のものなので、使用したことによる経験値もオキナ様に入ります。そして、オキナ様のスキルレベルが上昇することで、入力された人形のスキルも上がるのです」

「便利なスキルだったんですね……」


ということは、先代は建築スキルをたくさんの人形に入力して建物を作って行ったってことだよね。

大量の人形が動き回って家を作っているのを想像すると和むなぁ。


「もちろん欠点はあります。オキナ様のスキルを使うということは、オキナ様のMPが消費されます」

「消費MP高いスキルを入力するとあっという間にMPが枯渇するんですね」

「そうなります」


やっぱり人形使い(ドールマスター)はMPを消費する職業だね。

作るのにも使うし、操作するのにも使う。

スキルを付与するのにも使うし、その付与したスキルを使うのにも消費。

MPいくつあっても足りないよ!

MP倍加する装備とかないかな。


「以上でよろしいでしょうか?」

「あ、はい。とりあえずは大丈夫です」

「わかりました。では、この部屋の説明を続けさせていただきます」

「はい」


質問のせいでだいぶ逸れちゃったけど、まだ1つ目の部屋なんだよね。

他の部屋でも色々聞くことが出てきそうだよ。


「闘技場から繋がる2つの入り口は、プニおさん達が生活している牧場のような場所につながっているのと、洞窟のような実験場に繋がっています」

「牧場に洞窟……室内のはずなのに構築スキルはすごいですね」

「そうですね。また、それぞれの先にはさらに色々あるのですが、現在のオキナ様では闘技場までしか行くことはできません」

「わかりました」


工房のレベルを上げれば行けるようになるんだろうね。

こっちも早めにレベルを上げたほうがよさそうだ。


「性能評価室については以上です。何かあればお聞き下さいませ」

「わかりました。今のところはないです」


なぜ闘技場の形にしたのか疑問だけど、そこまで気にすることじゃないから放置することにしたよ。

先代の趣味だと思っておこう。


「こちらは『塗装室』になります。まずは中へどうぞ」


『性能評価室』の次は『塗装室』だ。

名前から考えると色を塗るだけの場所だと思うんだけど、1つの部屋にするのは絵の具の匂いのせいなのかもしれないと思ってたんだけど、ゼロワンさんに促されて入ったら、予想とは違った部屋だった。


部屋は12畳ほどの大きさで、僕が予想していた絵の具のような物と筆はあったけど、それは隅の方に追いやられていた。

部屋の中央には大きな機械が置いてあって、部屋の1/3占めていたよ。


「こちらにあるコーティング魔道具を使用して、作成した人形に塗装することが可能です。また、人工スキンもこの魔道具を使用することで作成することができますが、今は材料がないため作れません」

「そうですか……」


人工スキンが作れると聞いて喜んじゃったけど、すぐに落とされた。

せっかくアザレアの体に開いた穴を塞げると思ったのに……材料は何だろう。


「人工スキンの材料は何ですか?」

「それに関してはあちらにある本をご覧ください」


ゼロワンさん示した方向には絵の具と筆が乗った机があって、その机の上に1冊の本が置かれていたよ。

レシピ本かな。

右腕を作った後で読みに来よう。


「ちなみに塗装する意味はあるんですか?」

「もちろんあります。コーティング魔道具で鉱石などの素材を粉砕し、粉末状にして吹き付けるのですが、それによって人形の耐久度性能が上昇します。慣れてきたら2重コーティングを行ってみてください」

「わかりました」


塗装することで性能が上がるらしいね。

たぶん、素材によって上がる能力が変わったりするんだろうね。

そして、魔道具。

ここでもMPを消費させたいみたいだ。


「使い方が分からなければ仰ってください。ビスク様から一通り教えられていますので」

「はい。その時はよろしくお願いします」

「それでは次の部屋に参りましょう」


ゼロワンさんが部屋を出て行ったので追いかける。

絵の具や筆に興味があったけど、それは後にしよう。


「こちらが『武具制作室』です。どうぞご覧ください」


今度の部屋はさっきより分かりやすかった。

炉に冷やすための水、大きなハンマーや小さなハンマー。

ヤスリのような塊に砥石など、いろんな道具がたくさんあった。


逆側には木工用なのか、彫刻刀のようなものからナイフや鉈。

(かんな)なんかもある。

こっちにも見たことがない道具がいっぱいあるんだけど、どれも凶器になるよね。

ハンマーとか鉈とか。

持てるのかな?


他にもすり鉢やビーカーのような物が置いてある、小さなコンロがついた机もある。

これは調薬用かな。

理科室に置いてあるような機材もたくさんあったけど、薬も武具になるんだね。

まぁ、状態異常を引き起こす薬なら武器にもなるよね。


「こちらに部屋では鉱石や木材を加工して武具、草花を使用して薬品を作成することができます」

「薬品を作る上で火は大丈夫なんですか?」

「引火する物を使用する場合は、机に取り付けてある魔道具で遮断していただく必要がありますが、問題ありません」


問題大有りだよ!

魔道具を起動し忘れたら大ごとになるよ!

調薬だけ別の部屋にできなかったのかな」


「それと、あそこにあるハンマーは持てるんですか?」

「オキナ様は人形使い(ドールマスター)なので通常であれば持つことはできますが使うことはできません。ただし、持った道具に対応するスキルを使用することは可能です」

「スキルさえあればハンマーを持てるんですね」

「はい。なので、戦闘で使うこともできますが、生産用の道具なので威力はそこまでありません。人形を使って攻撃するほうがいいと思います」

「わかりました」


確かに生産用の武器でモンスターを攻撃してもダメージは入らなさそうだよね。

逆に言えば戦槌で生産することもないだろうし。

せっかく武器が持てるかと思ったんだけど無理だったよ。


「こちらにも本がございますので、必要であればお声かけいただくかお読みください」

「わかりました」


木工用の机の上に3冊の本があった。

鍛治、木工、調薬についてのレシピ本かな。

これも後で読まないと。


「それでは、『人形制作室』に参りましょう」

「はい」


次が目的の部屋だ。

右腕を作るよ!


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