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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
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特別報酬と言う名の強制と倉庫

ルビーベリージュースも飲み終わり、ミヤビちゃんもケーキを食べ終えたので僕はお暇することにした。

うららさんからは用事はなかったからね。


「ありがとうございました。また、何かあったらお願いしてもいいですか?」

「うん。その時はメッセージを送ってね」

「はい!」


ミヤビちゃんはうららさんに素材を渡すので、しばらくここにいるらしい。

ケーキも食べたりないみたいで追加注文してたし。


「ごちそうさまです。うららさんも何かあったらメッセージくださいね」

「はい。オキナさんも装備のことや、人形が増えたらお願いしますね」

「はい。わかりました」


うららさんと挨拶を交わして部屋を出た。

それにしても人形が増えたらか。

これ以上貰えるのかわからないけど、もし貰えるとしたら裁縫とかの生産をしてくれる人形か、防御に特化した人形がいいな。


服を作ってもらったり、修繕できるなら裸マントじゃなくて別の装備を用意できるのに。

防御に特化した人形は、ざっくり言うとミヤビちゃんのポジションだね。

モンスターを引きつける壁役が欲しいよ。


引きつけて横からハピネスで切ったり、アザレアの魔法で攻撃。

状態異常になったらクローバーにチャージ。

危なくなったらその人形でガードできるだろうし。

今は避けようとしちゃうからね。

対して運動神経がいいわけじゃないのに……。


『ふぁんしーけーき』を出るときに店員さんへ支払いはうららさんがしてくれると伝えたら、「あなたが噂の変態ですか?」と聞かれたので職業のことも説明しておいた。

詳しくはうららさんに丸投げしておいたけど。


幸い☆5だとわかっても「へー。1人だけの職業だからレイドスキル使えないんですよね?」と言われる程度で済んだ。

どうやら今は珍しい☆5職業より、自分に影響のあるレイドスキルで盛り上がってるらしい。

このまま服を脱がす変態の話も流れてくれないかな。


店を出て冒険者協会に向かって歩いていても、特に見られることはなかった。

ミヤビちゃんがいなからだろうね。

『2頭の竜を連れた女の子と服を脱がす男』だっけ。

どう考えても目印はミヤビちゃんになるよね。


逆に考えればミヤビちゃんの近くに居る男が『服を脱がす男』になるわけだ。

うららさんがお姉さんで本当に良かった。

これでお兄さんだったら僕のせいで風評被害がすごいことになるよ。


変なことを考えているうちに冒険者協会に着いたので、まずは魔力水を飲む。

その後受付を待ってる列に並んだ。


列は受付ごとにあって、今はそれぞれ3人並んでいた。

まだ昼前だから少ない方なんだと思う。

朝はクエストを頑張る時間というイメージがあるんだよね。

船も海に出てるし、畑を耕してる人も多かったし。


しばらく待っていると僕の番になった。

受付に座っていたのは、初めて冒険者協会に来た時に案内をしてくれたお姉さんだった。


「冒険者協会へようこそ。あら?昨日案内した方ですよね?」

「そうです。昨日はお世話になりました」

「いえいえ、仕事ですからお気になさらず。それで、本日はどういったご用件でしょうか」

「クエスト報告をお願いします」

「わかりました。では、こちらの水晶に手を当ててください」


お姉さんがカウンターの下から小さな座布団のような物に乗せた水晶を取り出して、僕の目の前に置いた。

よく占いで見かけるやつだ。

水晶に手を当てるだけでいいらしいけど、これも魔道具なんだろうけど、記録を読み取る物なのかな。


「はい。結構です。それでは清算をさせていただきたいのですが、その前に鉱石の納品を行われますか?」

「あ、忘れてました。これでお願いします」


討伐クエストや調査クエストはクリアの確認をしたんだけど、鉱石は掘るだけ掘って忘れてたよ。

アイアンゴーレム倒したことでたくさん手に入ってるから、なんの憂いもなく鉄鉱石を5個取り出してカウンターに置いた。


「鉄鉱石5個でよろしいでしょうか?」

「はい。お願いします」

「承りました。これで全てのクエストが完了しましたので、清算に移ります。結果はこちらです」


お姉さんが何か操作をしたのか、僕の目の前にウィンドウが表示された。


『クエスト清算


・イタズラモンキーのイタズラに困ってる(30匹討伐):1500ゴールド

・ロックワームが邪魔(20匹討伐):1000ゴールド

・鉱石の素材が足りん!(鉱石を5個以上納品):400ゴールド

・山小屋調査:2000ゴールド+特別報酬【テンペストバード調査隊参加証】

・崖っぷち調査:2000ゴールド+特別報酬【アイアンソード】【アイアンシールド】』


お金が6900ゴールド手に入った。

ただ、特別報酬なんていうよくわからないものがあった。

テンペストバードとアイアンゴーレムなんだろうね。

というかアイアンソードとアイアンシールドは右腕を作ったら持たせることができそうだからありがたいんだけど、テンペストバード調査隊参加券なんていらないよ!


「特別報酬についご説明しますね。簡潔に申しますとクエスト外で活躍した場合に送られる物です。今回の場合はテンペストバード幼体の足止め、北の鉄鉱山の解放の2点です」

「受けてるクエストは関係ないんですね。てっきりクエストを受けたからテンペストバードと出会ったり、鉱山に入れたのかと思ってましたよ」

「受けていただいたクエストとは関係ありません。山小屋の調査はテンペストバードが来たかどうかを確認するために週1回張り出されます。崖に関しても同様です。なので、冒険者の予想外の働きに対する報酬だとお考え下さい」

「わかりました」

「はい。では、こちらが報酬になります」


金貨、鞘に入った鉄の剣、僕の上半身ぐらいなら守れそうなほど大きい鉄の盾、名刺サイズの鉄っぽい板が置かれたお盆を出してきたので、全部受け取った。


「アイテムバッグを圧迫するようでしたら倉庫に預けることも可能ですが、いかがいたしますか?」

「あー。大丈夫です」


この後工房に行くつもりだから、そこにあるって聞いてるアイテムボックスに入れるつもりだからね。

いちいち冒険者協会まで来るのも面倒だし、行きやすい工房の方がいいよね。


「そうですか?不要なアイテムを設定していただければ、こちらの方でクエストと照らし合わせて対応することも可能ですが」

「うーん。やっぱりいらないですね」


不要に設定するのも面倒そうだよね。

アイテムが余ってるならやってもいいかもしれないけど、いまはな何が売れるのかもわかってないし、何が必要かもわかってない。

売却設定した物が人形の素材に使えるもので、気づいた時に売れてたら嫌だから断るよ。


「畏まりました。では、テンペストバード調査隊参加証についてご説明させていただきます」

「お願いします」


欲しくなかったアイテムだ。

読んで字の如くなアイテムだろうけど。


「内容はアイテム名の通りです。テンペストバードが生息していると予測されている島があるのですが、その島の調査を行う部隊に参加が決まった方へ送られる物です」

「え?」

「島です」


いや、そっちじゃなくて参加が決まった方ってどういうこと?!

いや、北の鉄鉱山じゃないことにも驚いてるよ!

でも、場所が違うってことは幼体じゃなくて親が出て来るんじゃないの?!

無理無理!

絶対に行きたくない!


「その参加証は譲渡不可、売却不可、破棄不可、倉庫やアイテムボックスなどの持ち運べない収納物への収納不可です。身につけるか、アイテムバッグに入れておいてください」

「そもそもこれはなんですか?」

「テンペストバードが生息していると思われる年中嵐に見舞われている島へ調査隊が行くんですが、その参加証です」

「拒否は……」

「できません。その参加証は魔道具で、通信機能と転送機能があります」

「えぇ……」


通信機能はわかるよ。

呼び出しにも使えるし、分担して調査した場合の連絡にも使えるし。

ただ、転送機能はやりすぎだと思う。


「誤解させたようで申し訳ないのです。その参加証ですが、受け取りは強制です。ただし、調査隊への参加は今後の活躍次第です。今は将来有望な冒険者に配布している段階ですし、即座に赴くわけではありません」

「予約みたいなものですか?」


もしくは首輪かな。

使えそうな人材だから、早めに手をつけておくんだろうね。


「そのようにお考えください。アイアンソードとアイアンシールドに関しては説明はありません。以上でクエスト清算を終わりますが問題ないでしょうか?」

「はい。ありがとうございました」

「こちらこそありがとうございます。今後ともよろしくお願いします」


受付を離れてクエストボードの近くに移動する。

お姉さんには問題ないって伝えたけど、本当は問題あるよ。

テンペストバードと戦うのは嫌なんだけど……。

幼体かどうかも聞き忘れたけど、年中嵐ってことは幼体じゃないよね。

あいつはHPが減ったら嵐にしただけで、最初から嵐だったわけじゃないし。


まぁ、今後活躍しなければ呼ばれることは無さそうだし、まったりやろうかな。


とりあえずクエストを軽く見てから工房に行こう!


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