表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
89/287

着せ替えスキル

掲示板に僕らしき人物が変態っぽいと書き込まれていた件がひと段落し、注文していたルビーベリージュースと、ミヤビちゃんのオレンジショコラケーキっぽい物と紅茶らしき物が配膳された。

一先ず休憩だね。


ルビーベリージュースは鮮やかな赤色で、透き通りつつもキラキラと輝く果実が光を反射していて、飲み物全体が宝石のように見える。

味は苺っぽいんだけど、果実を噛むと炭酸のようなシュワシュワ感がある。

普通に飲めば苺ジュース。

小さな粒状の果実を噛めば苺ソーダになるよ。


似たような商品で深い青色で赤ぶどう味のサファイアベリージュース、明るい黄緑色でマスカット味のエメラルドベリージュースもある。

宝石ベリー系として有名で、まだ栽培できるプレイヤーは居ないらしい。

『ふぁんしーけーき』の素材収集担当が集めてきて、いくつかが農業担当に回され、残りがお店に出てくるそうだ。


ミヤビちゃんはケーキと紅茶を楽しみ、うららさんはずっとアザレアを弄り回していている。

服をめくったり、匂いを嗅いだり、髪の毛を編み込んだり、機巧(ギミック)のせいで開いた穴に指を突っ込んだりしていた。

耐久値減らないよね?


「それで、オキナさんは私に何か用があるんでしたよね」

「あ、はい。そうです」


ジュースを飲み終わったタイミングでうららさんが声をかけてきた。

ミヤビちゃんはまだケーキを食べてるんだけど、ニコニコしながら食べてるからよっぽど美味しいんだと思う。

あと、どれだけ食べても太らないし。


要件は2つあるんだけど、まずは簡単に済みそうな方から。

アイテムバッグを開き、テンペストバード戦で後ろの裾が少し焦げて耐久値が少し減ったクローバーの服を取り出す。

それをうららさんが手に取りやすいように机の上に置く。

もちろん焦げた部分が目に入りやういように上に向けて。


「これは……焦げてますね」

「はい。雷が掠ったんです」


うららさんは何故かアザレアを隣の席に置くと、クローバーの服を手に取った。

ちなみにミヤビちゃんは僕の隣に座ってるよ。


「雷……噂のテンペストバードですね?」

「そうですけど、噂ですか?」


僕が服を脱がせるってことが書かれてるから、テンペストバード戦の6人組の誰かが掲示板に書いたんだろうけど、どんなことが書かれてるんだろう。


「街の人たちが話してる噂では風と雷を操り嵐を呼ぶ怪鳥らしいですね。この街を建設中に北の鉄鉱山を襲って来たそうで、その時はテンペストバードの卵が孵って、雛鳥がいたから親鳥を呼んでしまったんじゃないかと言われています」


掲示板じゃなくてメルカトリア人から聞いたらしい。

だから噂なのか。

それにしても親鳥と雛鳥か。

幼体であの強さだから、親鳥だとどんな嵐を巻き起こすんだろう。

山なんて崩れちゃうよね。

あ。


「山の北側が崩れてたのってもしかして……」

「はい。親鳥が暴れた影響だそうです。その時は竜騎士団総出で戦いなんとか撃退できたみたいです」

「撃退ですか。ちなみに、今回のテンペストバードは幼体でしたけどそれって……」

「成長した雛鳥だと言われてます」

「ですよね」


僕が小屋で手に入れた羽が雛鳥の頃か成長してからの物なのかはわからないけど、もしかしたら帰巣本能みたいなもので生まれた場所に戻ってくるのかもしれない。

例えば卵を産むために。


となると、またあの戦いをする必要があるの?

僕たちプレイヤー側も強くなるだろうけど、次は幼体じゃないかもしれないよね。

うわー。

戦いたくない!


次の戦いは戦闘好きに任せよう。

僕は絶対参戦しないよ。

なんなら竜騎士団全員で戦えばいいんじゃないかな。


「それで、この服なんですが今の私では作れません。材料もつくり方もわかりませんので。そもそも、服に香りをつける方法も手探り状態ですからね」

「そうなんですか」

「そうなんです。香りを付けるための道具から開発してますから」

「わかりました。アザレア達は僕が作ったわけじゃないので、作り方がわからないんですよね。ただ、工房にレシピがあるかもしれないので今度探してみますね」


地下の工房エリアはまだ入ってないからね。

むしろ一緒に来てもらってもいいんだけど、どこに何があるか把握してから呼ぶつもりだよ。

一緒に行ったとしてもゼロワンさんが解説してくれるかもしれないけど。


「わかりました。その時は是非教えてください。もちろんレシピ代はお支払いします」

「わかりました」


予想通り修繕してもらうのは無理だったよ。

素材からして僕が装備してる物と全然違うからね。

多分もっと冒険しないと手に入らないと思う。


服のことはすぐに対応できそうにないから置いといて、アイテムバッグに収納した。

うららさんが消えていく服をジッと見てたけど渡さないからね?


それじゃあ次だ。


「もう1つあるんですけど、人形の服を着せ替えるスキルに心当たりはありませんか?腹部機巧(ギミック)はアザレアだけじゃなくてハピネスとクローバーにもあるんです。使うたびに服を脱がせるのはちょっと……」


そんなことをしていたら、ずっと変態だと言われ続けるよ。

スキルを使って一瞬で脱がせるのも変態だと思うけど……むしろ悪化してる?

いや、手で脱がすよりは大丈夫……たぶん……きっと……。


「ありますよ」

「え?!あるんですか?!」


うららさんの返答を待ってると、意外と早く答えが返ってきた。

しかもあるらしい。


「正確にはできるかもしれないスキルですけどね」

「それでいいです。教えてください」

「わかりました。そのスキルは【衣装替え(ドレスチェンジ)】です」

「ドレスチェンジ……」


言葉通りだと服装を変えるスキルだね。

装備セットを登録しておいて一瞬で着替えるスキルかな。


「衣装替えと書いてドレスチェンジと読みます。β版での内容はマネキンに対して一瞬で服を変えることができただけなんですが、正式版からは同意さえあれば相手の服装を変えることができるようになったみたいです。もちろん装備は自分のアイテムバッグの中にないとダメですし、他人の装備を変えるにはレベルをあげないとダメなんですけど」

「服飾関係が使うスキルっぽいですね」


日替わりでマネキンの服を変えたりするのかな。

戦闘中に装備を変えれるとしたら、相手の攻撃属性が変わる時とかかな。


「どちらかというと派手なことが好きな方でしょうか。マネキンはお店がないと置けないのと、頻繁に飾る装備を変えることがないので私も取得しないと思います。ちなみに私が知ってる取得されてる方は職業道化師(ピエロ)の方だけですね」

「ピエロ……早着替えみたいな感じですか?」


剣で切った後ナイフを投げたり、華麗に避けたかと思えば盾でガードされたり変幻自在な戦い方をしそうなイメージがあるよ。

急に太って、お腹から剣がたくさん出てきたりとか?

それは違うか。


「詳しくはわからないんですけど、戦闘中に何度も服を着替えて戦ってるそうですよ」

「そうなんですか」

「ミヤビちゃんも見たんですけど、一瞬で私の陰に隠れました」

「だって、怖かったんだもん……」


ミヤビちゃんが唇を尖らせながら答えた。

子供の頃はピエロって怖いよね。

大きくなったらなったで、別の怖さを覚えるよね。

よく映画とかで猟奇殺人の犯人にされてたり、ホラー系のゲームで敵として出てくるし。


さて、スキルを取るかどうかだけど、マネキンの服を着せ変えれるならハピネス達も着せ替えれると思うんだけど、どうだろう。

人には意思確認が必要らしいけど、マネキンもハピネス達も意思はないからね。

スキルスロットも1つ空いてるから、冒険してもいいよね。


「とりあえず取ってみようかな。使えなかったらその時考えます」

「オキナさんがそれでいいなら止めませんが、もう少し探した方がいいんじゃないでしょうか?」

「うーん。スキルが多すぎてよくわからないんですよね」

「確かにそうなんですけど……」


うららさんは納得してないみたいだけど、できる気がするんだよね。

直感だけど。


メニューを操作してスキル一覧を開く。

名前順になってるみたいだからスクロールして衣装替え(ドレスチェンジ)を探す。

『ド』が意外と多くて『ドレス』も複数あったからちょっと迷ったけど何とか見つけることができた。

衣装鎧化(ドレスアーマーモード)とか、衣装武器化(ドレスウェポンモード)とかすごく気になるけど、使うことはないだろうね。


衣装替え(ドレスチェンジ)Lv:1

『手をかざした対象の装備を、あらかじめ登録している装備セットの内容に変更する。

※装備セットに登録できる装備はアイテムバッグに存在する物のみ


有効範囲は半径3m。

対象が生物の場合同意が必要。

対象が使用者の所有物である場合に限り同意なく変更することが可能。

レベルの上昇によって登録できる装備セットの数が増える。

Lv1で登録できる装備セットの数【10】


スキル使用例

変更時に装備していた物は所有者のアイテムバッグに収納されます。

対象者Aの装備をスキル使用者Bの所有物で変更した場合、Aが装備していたものはAのアイテムバッグに収納され、Bのアイテムバッグから登録されている装備がAに装着されます。

この時Aが装備している物は一時的にAの装備となりますが、所有者はBのままです。

また、スキル使用者Bにあらかじめ対象者Aの装備品を一時貸与することで、所有権がAのままBのアイテムバッグに収納することが可能になります。

一時貸与については、本スキル所有者に装備品を受け渡す際に両者への確認が行われてから結ばれます。


消費スキルポイント:1』


問題なさそうだから取得した。

というか意外と後衛であれば使えるスキルなんじゃないかな。

対象が色んな属性の武器や防具を持っていれば、スキル保有者に一時貸与することで戦闘中に装備を変えることもできるだろうし。

むしろ、前衛でも取得していてもいいと思うけど、これを取るぐらいなら他のを取りそうだね。


これでスキルスロットは埋まったし、スキルポイントも1減って9だ。

早速使ってみよう。


「うららさん。アザレアを机の上に置いてください」

「わかりました」

「ありがとうございます。衣装替え(ドレスチェンジ)


うららさんがアザレアを机の上に置いてくれたので、右手をかざしてスキル名を唱える。

すると右手の横にウィンドウが出てきて装備セットの一覧が表示されたんだけど、まだ何も設定してないから全部【無し】になっていた。


試しに【無し】選択してみると、アザレアが一瞬で裸になった。

ブーツどころか下着も履いてない。

もちろん人形なので問題ないけど。


成功したし、アイテムバッグを確認するとアザレアが装備していたものが入ってるんだけど、うららさんとミヤビちゃんの視線が痛い。

睨まれてるわけじゃないんだけど、僕に負い目があるから痛く感じるのかもしれない。


結局こうなるのか……。


いやらしくない意味でツルツルですよ。

間違えないでくださいね。

健全ですよ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:オキナ

種族:人族

職業:人形使い(ドールマスター)☆5

Lv:9

HP:180/180

MP:910/910(10)

ST:118/118

STR:18

VIT:18

DEF:42(24)

MDF:180

DEX:340

AGI:18

INT:365(5)

LUK:50

ステータスポイント:残り26


スキル

繰り糸(マリオネット)Lv:3〕〔人形の館(ドールハウス)Lv:2〕〔同期操作シンクロアクションLv:2〕〔工房Lv:2〕〔人形作成ドールクリエイトLv:1〕〔自動行動オートアクションLv:1〕〔能力入力スキルインプットLv:1〕〔自爆操作(爆発は主人のために)Lv:1〕 〔衣装替え(ドレスチェンジ)Lv:1〕

スキルスロット:空き0

スキルポイント:残り9


職業特性

通常生産系スキル成長度0.01倍

通常魔法使用不可

武器装備不可

重量級防具装備不可


装備

・武器1:装備できません

・武器2:装備できません

・頭:なし

・腕:アニマルグローブ

・体上:グリーンシャツ、ワイルドコート

・体下:ブラウンズボン

・足:ステップシューズ

・アクセサリー1:なし

・アクセサリー2:なし


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

色々あってTwitter始めました。


@hoshizatou_book


です。

投稿したら呟きます。

日常に関しても呟く予定です。


よかったらフォローお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ