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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
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制限解除

うららさんから変態なのかと聞かれた。

正直どうして聞かれたのかわからないけど、僕だってフェチの1つや2つある。

でも、それはナックルぐらいにしか話してないから、うららさんがナックルから聞かない限り知られることはないし……。


いや、ナックル経由でマサムネちゃん達に伝わって、そこからうららさんに伝わってるかもしれないけど、そもそもうららさんとナックル達が知り合いかもわからないから、これ以上考えても仕方ないよ。


「あの……変態とはどう言うことでしょうか?」

「ご存知ないのですか?掲示板でオキナさんのことらしき書き込みがあったのですが、その内容が少々……変態的なんです」

「掲示板は殆ど見てなので……見たとしても行く先についてとモンスターの情報ぐらいです」


そもそも、☆5職業については書き込めないはずなんだけど、何が書かれてるんだろう。

むしろ何が書けて、何が書けないんだろう。


「そうですか……。では、内容を簡潔に言います。『2頭の竜を連れた女の子と、服を脱がす男』と書かれていました」

「はぁ……は?」


2頭の竜を連れた女の子は間違いなくミヤビちゃんだね。

他に召喚士(サモナー)獣使い(ビーストテイマー)が使役してたらわからないけどね。


それよりも服を脱がす男って僕のことだよね。

確かに服を脱がしたけど、人形の服だから問題ない……はず。

というか掲示板への書き込み方に問題があると思うんだけど、もしかして人形って書けなかったのかな。

そうだとしたら嫌々だけど納得できるよ。

本当に嫌々だけど。


「私としては何かの間違いか変な伝わり方をしてると思ってるんですが、どうなんでしょうか?」


間違いではないし、変な伝わり方なのかな?

文字通り『人形の』服を脱がす男だからね。

これは、返答によっては酷いことになりそうだ。

うららさんの笑顔は怖いし、ミヤビちゃんはその空気にやられたのか一心不乱にシロツキとトバリを撫でてる。

援護は期待できそうにないよ。


「えっとですね……。書き込み制限で肝心なところが書かれてないので、誤解を生む書き込みになってますね」

「誤解ですか?」

「はい。誤解です。服を脱がせたのは事実なんですけど、脱がせたのは人形で、腹部にある機巧(ギミック)を使うと服が破けるので、事前に脱がせただけです」

「人形ですか……」


反応が良くないね。

人形と言えども女の子型だから、そこに抵抗があるのかもしれない。

こうなったら見てもらうしかないね!


人形の館(ドールハウス)。アザレア来い。アザレアの服を捲って身体を見てください」

「わかりました」


うららさんは机の上に出てきたアザレアを見て少し笑顔が自然になった。

やっぱり可愛いものが好きなんだね。


うららさんはアザレアを手に取ると魔女のローブを捲る。

そうすると下着が出てくるだけだから、まだ見て欲しいところまで現れてないね。


「肌着も捲ってください。お腹を直接見て欲しいんです」

「少し生地を見ていただけなんです……。すぐに見ます」


少し赤くなりながら肌着を捲るうららさん。

お腹の機巧(ギミック)って言ったから分かった上で服を見てたのかな。

そうだとしたら急かしたみたいだけど、早く誤解を解きたいから別にいいよね。

空気が変わったからか、ミヤビちゃんのシロツキ達を撫でる手も落ち着いて、今は何か注文しようとしてるよ。

僕も飲み物を注文しようかな。


「これは……酷いですね……」


ルビーベリージュースを頼んだところで、うららさんがお腹の穴を見たらしい。

確かに体に空いた穴を服で隠すのは酷いかもしれないけど、人工スキンが無いからどうしようもないんだよね。

工房に行った時にゼロワンさんにつくり方とか聞くつもりだけど、すぐに直せるかわからないし。


「その穴は機巧(ギミック)を使った時にできたんです。直すには専用のアイテムが必要なんですけど、作り方もどこで手に入るかも分かってません。なので、今度アザレアをくれた人に聞くつもりです」

「そうなんですか……。でも、これで掲示板の書き込みが誤解を招く書き方だということはわかりました。疑ってすみません」


誤解を生む書き込見をした人が悪いのであって、うららさんが悪いわけじゃないけど、うららさんが頭を下げた。


「大丈夫です。妹が服を脱がす男と一緒に居ると思ったら疑うのも仕方ないですよ」

「そう言っていただけると助かります。お詫びと言ってはなんですがここの支払いは私がしますね」

「えっと、ありがとうございます」


支払ってもらうことになったけど前も払ってもらってるし、追加で食べ物を頼むのは気がひけるね。

飲み物だけでいいや。


「それで、オキナさんは今後どうされるつもりなんですか?」

「どうとは……掲示板のことですか?」

「そうです。このままだとオキナさんが変態だと認識されると思いますが……」

「うーん。僕が掲示板に書き込んでもいいんですけど、正直そんなに効果がないと思うんですよね」


僕1人が人形の服を脱がしたと書いたところで読まれるか分からないし、制限のせいで他の人が書き込めなかったら広まらないしね。


「放置でいいんじゃないかと思ってます。ジロジロ見られただけですし、仮に何か言われたら説明しますよ」

「そうですか……。他の人が書き込めないならそうなりますね」

「制限を解除してもいいと思うんですけどね」


他の人が書けるようになったら『人形の服を脱がす』って書いてもらえるかもしれないし……。

ただ、『戦闘中に人形の服を脱がして変な攻撃した』って書かれても変態的なのは変わらない気がするけど。

そもそも、服を脱がす時点でどうしようもない気がする。


「服を脱がす行為自体が問題だと思うんですが……」


うららさんも同じ意見みたいだね。

だけど、服が破れるのは嫌だからなぁ。


「ん?ウィンドウが出てきた」


急にウィンドウが出てきた。

『ふぁんしーけーき』のメニューを表示してしまったのかと思ったけど、どうやら違うみたいだ。


『☆5職業の書き込み制限解除について


書き込み制限解除についての思考を確認しました。


本メッセージの解除ボタンを選択すると、現在閲覧権限ユーザーに対して書き込み可能に変更した旨の通知が送られます。

また、全ユーザーが☆5職業「人形使い(ドールマスター)の書き込みが行えるようになります。

閲覧権限がないユーザーに対しては書き込み可能になった旨のメッセージは送信されません。


※一度解除すると再度制限することはできません』


メッセージの下には解除ボタンとキャンセルボタンがあった。

さっき権限がなければって考えたらせいかな。


さて、どうしようか。

1日経ったけど特に何か言われたわけじゃないし、解除してもいいよね。

絡まれたら工房に逃げるという手もあるし。


よし。

解除しよう!

これで今回みたいな変な書き込みはされなくなるよね。

行動が変態的だと言われたら、それはそれで仕方ないからね。


「あら?」

「あ。ウィンドウが出ました」


解除ボタンを押したらうららさんとミヤビちゃんの前にもウィンドウが出てきた。

ナックル達やしのぶさんの前にも出てるんだろうね。


「よくわかりません」

「えっとね。オキナさんの職業について掲示板に書けなかったり、人に話せなかったんだけど、今は書けるし話せるようになったよーってことだよ」

「昨日ここでお姉ちゃんに、オキナさんの人形のことを話しても聞こえてなかったけど、今は話せるってこと?」

「そうよ」

「わかりました」


どんなメッセージが送られてきたのかわからないけど、ミヤビちゃんには少し難しかったみたいだね。

そもそもミヤビちゃんは他の人に言わないって約束を守ってくれてたから、閲覧権限の認識が薄いみたい。


「それで、私が火消しに協力すればいいんですか?」

「え?あー、それは考えてませんでした。僕は放置するつもりだんですけど、それじゃダメでしょうか?」

「うーん。今は面白がって書き込んでいる人もいますけど、特に批判されているわけではないので問題ないと思いますよ。それに、今はゴーレム坑道の話題で盛り上がってますからね」

「そうですか。なら、何もしないでおきましょう」

「わかりました」


それにしても、ゴーレム坑道の話で盛り上がってるのか……。

結局、僕とミヤビちゃんで掲示板の話題を提供してることに変わりはないけど、ゴーレム坑道は僕達がやったとバレてないから、好きなだけ盛り上がって変態の話をなくしてくれれば助かるよ。


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